第10章 烏野、完全体へ
繋心の指示によって皆が試合の準備に取り掛かる。
みんながコート内に入っていく中、
動かない西谷を見て繋心が声をかけた。
「あ?何だお前どうした?」
その様子を見かねた澤村が間に入る。
「ああ、すみません。そいつはちょっと」
『じゃあ西谷先輩は町内会チームでリベロやってくれますか?
今日町内会チームのリベロ来れないそうなので』
「ああ、それなら...」
澤村と目を合わせた西谷はわずかに頷くと町内会側のコートへと走り出した。
『町内会チームはあと2人?』
「ああ」
『じゃあ、わた』
「だめだ」
『まだ最後まで言ってない!』
「お前が言い出すことはわかってんだよ!さっきの話もう忘れたのか!」
『...ぐっ。強引繋心くんめ!』
2人がそんな言い争いをしていると、
「あ!旭さんだ。旭さーん!」
日向の声に皆が肩をピクリと動かした。
「何だ遅刻か!ナメてんのか!ポジションどこだ!」
「あ...ウィングスパイカー...」
「人足んねえんだ!さっさと入ってアップとれ!すぐすぐ!」
「...は、はい」
バシッ
「いってえ!何すんだ!」
思い切り肩を叩いたに向き直った繋心が怒鳴る。
『繋心くんの強引さもたまには役に立つね!』
「あ?何言ってんだ急に」