第8章 始まりの始まり
放課後の練習で音駒高校との練習試合の件が皆に伝えられた。
「よし!せっかくの練習試合無駄にしないように気合い入れんぞ!」
澤村の言葉に皆返事をし、練習を再開しようとする。
「大地さん。すみません、俺練習試合出ません」
西谷のその声に気がついたは静かに耳だけ傾けた。
「翔陽はいいやつだし、他の一年も曲者揃いだけど面白そうなやつばっかだし、何より1年なのにあんなに頼もしいトレーナーのだっている。
これからこのチームは、なんかこう、いい感じにやっていくんだと思います。俺もここで練習したいけど、このチームで勝ったら旭さんいなくても勝てるって証明しちゃうみたいで
嫌です」
西谷の言葉に澤村は眉を下げつつも微笑んで、
「わかった。ただ合宿には出てくれよ」
と答えた。
それでも西谷がでも...とためらうので我慢できなくなったが二人の間に割り込んだ。
『西谷先輩!
居てください!西谷先輩はちゃんとここに。東峰先輩が来た時に同じスタートラインからまた再出発できる人が必要です。今それができるのは西谷先輩だけだから。
ちゃんと居て、合宿にも参加して、それで東峰先輩が戻ってきた時に、今の烏野と東峰先輩の中の少し前の烏野とのギャップをちゃんと埋めてください。
それができるの、西谷先輩だけです。』
「...」
まっすぐな目線でそう言い切ったの圧力に西谷は驚いた。
澤村も数秒こそ驚きで固まっていたが、さすがだなと思い微笑みながらの頭を撫でた。
「その通りだ。西谷、お前のことを必要にしてる奴はたくさんいるんだ、ちゃんと烏野に居てくれよ」
一瞬泣きそうな顔をした西谷は、おっす!と元気よく返事をするとの頬を両手で挟んだ。
「ありがとな、」
『!どういたしまして...!』