第8章 始まりの始まり
コンコン
『失礼しまーす。武田先生に用があってきました。1年の金烏です』
「武田先生なら奥の机だよ」
通りかかった別の先生がにそう教えた。
ありがとうございます、とひとこと言いは武田の元へと足を進めた。
「はい、はい!ありがとうございます!失礼します!
よしよし!大きなチャンスだ!きっと何かが変わる!」
『どんなチャンスですか?』
「うわああああ!金烏さん!?」
武田の最後の数秒の会話を盗み聞きしてしまったは電話を終えた武田にそう尋ねたが、の存在に気づいていなかった武田は大きく後ずさった。
『こんにちは。武田先生。
ご報告があって伺いました。今お時間平気ですか?』
「あ、ああ。どうしたんですか?」
『繋心くんが、あ、烏養さんがとりあえず週末に試合の様子を見るだけならって来てくれることになりました!』
の報告に目を輝かせた武田はの両手を握り、でかした金烏さん!ありがとう!とお礼を言った。
『それで、さっきのチャンスってなんのことですか?』
「そう!それがね!GW最終日に東京の古豪、音駒高校と練習試合を組めたんです!」
『えー!すごい!武田先生、頼もしかったんですね!』
今まで頼もしいとは思われてなかったんだな、まあそうだよな、
と内心少し落ち込みつつも、
そのための作戦や練習頼みましたよ!との肩を叩いた。
『はい!』と元気よく返事をしたは今日一番の足取りの軽さで職員室を出た。