第8章 始まりの始まり
翌日、は繋心がとりあえず試合を見にきてくれるという約束を取り付けたことを武田に報告するため職員室へと足を進めていた。
自然との足取りは軽くなる。
次な曲がり角を曲がり、職員室へと向かう階段を登ろうとした時、
ドンッ
『わっ!』
「ご、ごめん!大丈夫?」
その声に顔を上げたは、声の主を見て思わずおわぁ!と言った。
「え、ごめん!どっか打った!?」
『あ、いや背高いなあと思って!』
「え、ああまあ高い方だね」
眉毛を少し下げながらそういうの目に彼が持っていたノートの名前が入った。
『あ、さひ?』
「え?あ、ああ。3年の東峰旭です。ごめんね?大丈夫だった?」
『1年の金烏です!私こそごめんなさい!どこも怪我ないので大丈夫です!
あ!それと、勝手に名前見てごめんなさい!なんか聞いたことあるなと思って』
の言葉に少し表情を固めた東峰は、気のせいじゃないか?と言ったあと手を差し伸べてくれた。
ありがたく東峰の手を握ったはそのまま立たせてもらい、スカートを整えるとペコリとお辞儀をした。
『親切にありがとうございました!』
「どういたしまして。じゃあ俺は進路相談があるからこれで」
そそくさと歩いて行こうとする東峰の顔を見たは思わず東峰の腕を掴んで自分の方へ再度振り向かせた。
「!!?」
東峰が顔を赤くしたのはただ腕を掴まれたからではない。
腕を掴まれ振り返った東峰の両眉上にの小さくて細い指が置かれたからだ。