第11章 Prey (観察対象は監督生さん)
助けてくれないかな…と
フロイド先輩の顔を見る。
「なにそれ、おもしろそ~!
オレもぉまざるー♡」
(ですよね~)
この双子にまともを期待してはいけない。
分かってました…。
「ふふっ。しかし困りましたね。
そろそろラウンジに顔を出さないと、
アズールに叱られてしまいます」
全く困ったように見えない顔で、
ジェイド先輩が眉を八の字にして笑う。
「ユウさん、よろしければ続きは
モストロ・ラウンジでいかがですか?
夕食は僕がご馳走しますよ」
「えっ!あ、でも…グリムが…」
「なにぃ~二人でこそこそしてヤな感じ~。
小エビちゃん、モストロ来るんだったら
夕食はオレが作ってあげる。
嬉しい?いいよ、楽しみにしてて」
「えー、えっと…」
「嬉しいよな?」(低音)
「はい!喜んで!」
この際どうにでもなれ…!
勉強道具を鞄にしまい、急ぎ足で準備する。
「フロイド…」
「いーじゃん」
たしなめるようにジェイド先輩の声が聞こえるが、フロイド先輩にはどこ吹く風だった。
準備終わりましたの意味を込め
ビシっと敬礼すると
それが面白かったのか「あはっ♡」と
フロイド先輩が笑った。
「ジェイドはこれから仕事だから
小エビちゃんはぁ~
オレといーっぱい楽しいことしようね」
「はひ…」
むぎゅっと大きな手を掴まれて、
ラウンジの方に誘拐される。
振り向いてジェイド先輩を見ると、困ったような、それでも楽しそうな笑顔で「やれやれ」と呟いていた。
◆
「美味しいー!」
あの後、連れてこられたモストロ・ラウンジの大型ソファで小エビはフロイド先輩から色んな料理を餌付けされていた。
目の前に並べられた色とりどりの料理に、ゴキュンっと喉がなる。「これ全部ジェイドのおごりだから、好きなだけ食べな」と言われ恐る恐る一口食べたら、止まらなくなった。
「小エビが小エビ食っててウケる~。共食いじゃん」
「おいひいです。ふろひどせんぱいてんはい!
(美味しいです。フロイド先輩天才!)」
「あはっ。何言ってるかわかんねー」
そこにカツカツと高そうな靴の音を鳴らして、
支配人のアズールが現れてた。