第3章 Daily life(監督生といつもの日常)
そういうのは嫌いじゃない。
…嫌いじゃないからなんか困る。
(…お前と一緒だと飽きねーわ、ほんと)
今はまだ友達でいい。お前の一番近い場所で、
苦しみや悲しみから守ってあげる。
一緒に馬鹿なことやって、笑いあって…
忘れられないくらいの思い出を作ろう。
でも、その時が来たら
…容赦なく、その隣をオレが独占する。
「オレ、メープル味!」
その微笑みは、
まさにヴィランが悪だくみする時の表情だった。
だが、エースはすぐにいつもの何気ない自分を装って皆の所へ駆け寄った。
「美味しそーじゃん♪
イタダキ…って、うまぁい!!」
「あ゛ー!エースがオレ様の分食べたッ!」
「こらエース、大人げないぞ」
「ふなぁぁ…!」とユウの足に引っ付いて、
裾をひっぱるグリムはまるで母親にねだる子供のようだ。
ユウは気にせず、
自分が持っていたものをグリムの口にねじり込む。←
「あ、そうだ…!この前、フロイド先輩が持ってきたサメのコメディ映画あるんだけど、ポップコーン食べながら見ない?」
「コメディ…?これ明らかにホラーじゃね?」
「…んー。なんか海の世界ではコメディっぽい」
「マジか」
そう言って三人と一匹は、ポップコーン片手にベットに集まって映画鑑賞にしゃれこんだ。
◆
明け方にゴーストたちが部屋を覗きに来ると、
全員仲良く寄り添って眠っている。
彼らは寝ている魔獣からリモコンを奪い取り、
TVから流れる映画のエンドロールを消した。
微笑ましくその様子を見守りながら、
はみ出た体にタオルケットをかけてあげる。
「こうして見ると、
グリ坊もユウちゃんも幸せそうに見えるなァ。」
「ああ…。最初の頃とは大違いだねぇ…」
「この二人のおかげかな?
恋と友情…。まさに青春の一ページ…!」
そう言って何やら勢い良く書き込んでいく。
「おや?…それはなんだい?」
「今グリ坊とユウちゃんについての物語を書いているんだよ。あの子が元の世界に帰っても、俺たちのことを忘れないでいてくれるように」
そう言って少し涙目になる太っちょのゴーストの言葉に、周りのゴーストもつられてしまう。