第11章 Prey (観察対象は監督生さん)
「先ほどはお見苦しい所を失礼しました。
ゴホン…改めまして、ユウさん。
モストロ・ラウンジのウェイター兼キッチン兼配達員兼ウツボの助手係ということで…就任おめでとうございます!」
双方タンコブをつけたリーチ兄弟がクラッカーを鳴らし、真ん中にいるアズール先輩も高らかに手を叩いた。
紙吹雪を浴びながら、複雑な心境を抱えるユウ。
「あの…面接とかしてないのに採用でいいんですか?」
「貴女…タコとイカどちらがお好きですか?」
「え?どちらかというとタコです」
「合格です!おめでとうございます!
こちら就任祝いの
従業員専用の割引クーポンです。
ぜひ、グリムさんとご活用下さい」
「はひ」
渡されるというか、札束のように掌にねじりこまれる。
自分は本当にこんな危ない匂いがプンプンする職場で働けるのか、とても不安になってきた。選択を間違えた気がする。
「そして、ん゛ん゛ん…ッ!
ここからが一番大事な話ですが、
貴女が働く上で身に着ける制服について
要検討の必要がありますので
そちらに立っていただけますか?」
ニコニコと有無を言わさぬ内に、手を取り
エスコートされる。
ここの寮の人って有無を言わさないよね…。
こわーい↑!(声高め)
「はいは~い!次はオレの番ね。
オレが提案するニュースタイルはこれでぇす」
「わぁっ!!」
ポンっとフロイドがマジカルペンを振ると、
ユウの服に当たり、白い光がぶわっと飛び散って、あっという間に服が変わった。
先ほどの服と打って変わって、こちらはオクタヴィネルの寮服に近いデザインだった。黒スーツを身に纏い、中に紫色のシャツ、白いボウタイが首を飾る。
スーツも体のラインを綺麗に見せてくれるが、
胸が苦しくないデザイン。
違いと言えば、裾のラインが膝よりも明らかに高い位置にくるもの、すなわち、超絶ミニスカートだと言うことだ。
(み、短ッ!
普段こんなに短いスカート履かないから
スースーする)
背中にある鏡で自分の姿を確認する。
ヒラヒラなスカートに慣れず、
ユウは、ちょいちょい裾をひっぱった。