• テキストサイズ

【ツイステ】監督生はプリンセス(長編)

第8章 Nasty mermaid(意地悪な人魚)




戦争がない国で、普通の女子高生として過ごしていたユウにとって、暴力は非日常だ。


地面に人の頭がねじり込んでいくシーンや、倒れた人間の脇腹を追い打つように蹴るシーンなど、直接目にしたことなんてない。



ー目を閉じるな。


呪いのような人魚の言葉が頭から離れない。


ピチャっとユウのローファーに返り血がかかった。


罪のような深紅の色は、何もできない自分を責めるようにどんどん色が黒くなり、真っ白な靴下まで染め汚していった。




「おや、これで終わりですか。


……残念です」



気づけば絡んできた先輩たちは皆地面に倒れていた。同じように見ていたエペルが「す、すごい…」と慄いた声が耳を掠める。




「ユウさん、立てますか?」



(あれ……。私、いつの間に…)



ジェイドから声をかけられ、ようやく意識が覚醒する。


自分が腰を抜かしている事さえ気づいていなかった。


「………ユウさん」


ジェイド先輩は、腰に腕を回して私を立たせてくれた。

その仕草が思いのほか優しくて、

なぜか泣きたくなった。



「?……ユウさんっ?」



張り詰めた糸が切れる音がした。




突如襲った耐え難いほどの寒さに、


視界が真っ暗になり





あとはもう、よく覚えていない。




/ 209ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp