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【ツイステ】監督生はプリンセス(長編)

第8章 Nasty mermaid(意地悪な人魚)



「!…初めて、

笑ってくださいましたね」

ジェイドの切れ目の眦(まなじり)が愛らしそうに緩む。
心なしか頬が桃色に染まっていた。

「えっ…。そう、ですか?」

自分ではどういう表情をしていたのか、
なんて全く意識していなかった。

ジェイド先輩の嬉しそうな顔を見てると、
心の中が、急に苦しくなった。

なんで、そんな顔するんだろう…。
自分でも分からない感情が溢れる。

小川に小石を投石した時のように、疑問が波紋を呼んで波を作る。確実にソレは大きく反響していく。

そんなわけない。

ユウはとっさにそう思った。

急にこの場から逃げたくなった。

なんでだろう。さっきまで普通に話していただけなのに。
私に向かって、そんな顔を見せないでほしい…・


「先輩。良かったら、まだ時間もありますし
キノコの様子、見てきて下さい。

他の材料全部揃えてもらっちゃったので、
灯火の花は私が持ってきますね!」

「あっ…ユウさん!」


そう言って有無を言わさず走り出した。
理解できない感情なんかに振り回されたくなかった。



「あっ!エペル!」

「ユウサン!」

灯火の花の近くにいると、数名の生徒がいた。皆はじめは森の方に行くので、こちらにいるのは比較的優秀なペアが多い。

その中に1年マブとして仲良しのエペルの姿を見つける。手を振って、近くに寄った。



「課題の調子どう?」


「魔法薬学が得意なポムフィオーレの先輩とペアだったから、比較的はやく終わりそう…かな?

ユウサンはジェイド先輩とだよね。


…変なごどされでねが?」

綺麗なアクアブルーの瞳が心配そうに
のぞき込んできた。

こんなこと言うとエペルに怒られちゃうけど、
本当に美少年だなぁ…とユウはのんきに考えた。

1年マブの中でも
誰よりも男気があるのを知っていたので。

「今の所、大丈夫だよ。
やっぱり目立ってた?」


「…うん。

あのあと、フロイド先輩が「何見てんだよ」って数人絞めて、それにリドル先輩がキレて…。

まさに怪獣大戦争ってかんじ」

「うわぁーー」

リドル先輩には
今度お詫びしに行かなきゃいけないな。

エース達も巻き込んで、またマロンタルトでも作ろうか…と考えていると、パっと手の中の灯火の花が消えた。

「えっ!」

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