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【ツイステ】監督生はプリンセス(長編)

第8章 Nasty mermaid(意地悪な人魚)



材料は、植物園ですべて揃うわけではない。
近くの森や鉱山からの調達も含んだ授業だった。しかし、リドルやアズールのように予め優秀な生徒は、予習としてすでにある程度の材料を手元にストックしている。ジェイドも然りである。

これにはユウも、驚いて純粋に尊敬した。

何しろいつもペアを組むマブ達とは、図鑑を突き合わせてああでもない、こうでもないとウンウン唸る所から始めなければいけないからだ。

「常闇草、ニワヤナギ、二角獣の角の粉。

すごいっ!ほぼ全て揃ってる。

あとは、植物園にある灯火の花だけですね」


「ふふ、喜んでもらえて何よりです。

では参りましょうか」


歩き出すジェイドの耳には、キラキラと深海のように光る蒼いピアスが揺れている。

思わず美しい人魚に、ぽーっとしてしまい
悔しくて首を左右に振った。





植物園の中にある薬草ゾーンの近くまで来た。ジェイド先輩は何やら気になるものがあるらしく、先ほどから会話の途中にチラチラとそちらの方を見ている。

「どうかされたんですか?」

「…!いえ。

実はあちらのスペースで
キノコの栽培をしてまして。

経過がどうなっているか
つい…気になってしまいました」


「………キノコ?」

「はい」

「あのジェイド先輩が?」

「はい」

「ご自分で栽培を……?」

「……なにかおかしいですか?」

「い、いえっ!


(普段物騒な先輩からは考えられない純粋な笑顔だ…!キノコの話題になっただけで、雰囲気が全然違う…)」


「物騒だなんて…。
これでも僕はいたいけな
17歳の男子高校生ですよ」

(っ…また心読まれた!)


「…キノコお好きなんですね」と諦め半分で呟くと、それはもう情熱的にキノコの素晴らしさについて語られた。

普段は冷静沈着、腹の底が見えないヤバイ方。死体を笑顔で蹴って歩くリーチ兄弟と悪名高いあの先輩が。


「初めて山の頂上に辿り着いた日のことは
一生忘れません」と拳を握り、話すその姿を見て…


「ふふっ」

ユウは、毒気を抜かれてしまった。


会えば意地悪。嫌味っぽい言葉。


そんなジェイドが苦手だと決めつけて、あまり関らないようにしていたユウだったが、趣味について熱く語る彼の一面は純粋でかわいいなと思った。


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