第8章 Nasty mermaid(意地悪な人魚)
「喜んで。ご一緒させてもらいます」
「は、はひ」
「えぇっ~~~っヤダヤダヤダ!!!
小エビちゃんはオレのだもんっ!」
床に転げまわって暴れる片割れを無視しして、ユウの手を取り跪くジェイド。リアクションがオーバーだが、よっぽど嬉しかったのか顔がにやけっぱなしだ。
周囲の人間はその異様な光景に、被害が及ばない様避難したり、怖い物知らずはパシャパシャと怪獣の暴れっぷりを写真に収め、マジカメに上げた。
「さあ、行きましょう。
僕のユウさん」
「マジ、ジェイド…あとでぜってぇー覚えてろよ」
「ふふ。負け惜しみは見苦しいですよ。フロイド」
「コロス…!」
「僕の」とあえて強調するあたり、本当いい性格してる。教室の生徒たちが地獄絵図になる中で、彼だけは楽しそうだ。
グルルルル!と威嚇音を出すフロイドそっちのけで、ユウの手を取り教室を出るジェイド。
その背景には乙女のように花が咲いているかのようだったと、のちに目撃者たちが語った。
リドルは何か言いたげに、
教室から出ていく二人の背中を見つめ
最後には嫌そうに顔をそむけた。