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【ツイステ】監督生はプリンセス(長編)

第8章 Nasty mermaid(意地悪な人魚)



「え、遠慮しときますっー!」


「ああ゛!!……って行っちゃった。

……お代はほっぺにキスひとつで♪
って言おうと思ったのに」


((それのどこが友情価格なんだ(よ)ッ!))

「ところでお二人さん」

さりげなく逃げようとしていた
エースとデュースの肩がビクビクッと跳ねた。


「…ユウくんへの口止め料
今ならお安くしておくっスよ♡」

はいマドルちょーだいっと
手を出す笑顔のハイエナ。

それを見てエースは思った。

ホントここ(NRC)の先輩って

性格ワルっ!

内心、べーっと舌を突き出した。




魔法薬学室に辿り着くと、合同授業のためか
いつもより生徒が多く待機していた。


成績優秀者のリドルやジャミル、アズールの目の前にはすでに生徒の山が出来ていた。我先に…と優秀な先輩とペアを組みたい1年生が頼み込んでいる声が入り口に入ったばかりのユウにまで聞こえた。


(出遅れちゃった……)

せめて、なにかと懇意にしているリドル先輩とペアが組めたら上々の出来だと思っていたが、やはり彼は私にとって高嶺の花みたいだ。

他に仲の良い先輩がいないか、
教室全体をキョロキョロと見渡した。


そこに、ひときわ高い身長とそのルックスで周りの生徒から浮いているリーチ兄弟の姿が視界を横切った。


やる気が出ないのか
机に突っ伏しているフロイド・リーチと

一瞬…
目が合って驚いた顔をしたジェイド・リーチ。


(ひえっ…目が合ってしまった!

……関らないでおこう)

ユウは苦手なジェイドと目が合ったことを、まるでお化けを見た人間のように顔面を180°回転して見なかったフリをした。

「ユウ!」


ぎゅっと教科書を両手に抱きしめ、身を縮めこませていると…なんと声をかけて来たのはリドル先輩だった。

生徒の山がある為、なかなか近づくことができないが名前を呼ばれ、手を振られた。


目があると、規則に厳しい尖った眼が

とろりと甘く垂れて

まるで「こちらへおいで」と言っているように
手招きされた。


その…なんとも言えない特別扱いが

寂しかった心を溶かして、


嘘のように熱く

ユウの頬を真っ赤に染めた。


ドキドキと胸打つ心臓を抑えて

照れながら手を振り返し、
リドルの元へ向かおうと足を動かした。
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