第7章 Magical flower(魔法の花)
「そんな凄いものがあるなんて…。
さすが名門魔法士養成学校。
でも、なんで私に見せてくれたんですか?」
「ユウ、カム(おいで)」
クルーウェル先生は、ガラス瓶を魔法で浮かせ
スクっと立ち上げった。
ユウは頭がいい子犬なので、
飼い主の命令に迷いなく従い歩き出す。
グリムは面倒ごとの匂いを嗅ぎつけ
いつの間にか消えていた。バッドボーイめ。
◆
ー植物園
クルーウェル先生のコートについてるしっぽにじゃれつくように着いてくと、いつの間にか植物園についた。
(一体今から何をするんだろうか…)と心配そうな顔で先生を見るが、頭を撫でられると「きゃぅん」と大人しくなる。
「子犬は、中でも魔法薬学の成績が良かったな。
実験は好きか?」
「あ、はい。魔法薬学が一番好きです!
覚えることも多くて大変なんですけど、知らない薬草を知ることが出来たり、調合の際の技術なんかも覚えると面白いって感じます。
クルーウェル先生の授業が
分かりやすいから
余計好きなんだと思います」
「クッ!……」
俺の娘が今日も可愛い…(ちがいます)
「……あ、あとは、どこかの意地悪な人魚に
『魔法薬学に必要なのは魔力より知識です。
魔力が皆無の貴方にぴったりの学問では?』
って言われて、悔しかったんです!
でも勉強していく内に確かに…って
思っちゃったんですよね…。
それから意識して勉強している気がします」
「………子犬。それはどこのリーチだ」
あ、余計なこと言っちゃったかも……。
◆
もう部活動も終わる時間帯で、
植物園にはほとんど生徒はいなかった。
指定の場所ついたのか、先生が足を止める。
そこには四角形に魔法石が嵌められた柵が立っていた。
「…いいか、ステイだ子犬」
「わん、クルーウェル様」
「いい返事だ」と笑って先生が花を覆っていたガラス瓶の蓋を取った。勢いよく容器に入っていた液体が流れ落ち、中に入っていた魔法の花は綺麗に咲かせていた花が、ぱくっと勢いよく閉じた。
「わっ…」
ユウが驚いている間にも、彼は手際よくその蕾を土の中に植え、杖を振って魔法石の結界を張った。