第4章 True friend(マブダチといつもの日常)
「げぇっ……!」
現れたオクタヴィネルの三人組を見て、
いい噂のない彼らの登場に、
周りは一気に緊張感が高まる。
用がなければ、出来れば関わりたくないメンツだ。
「何の用だよ」とあからさまに嫌な顔をするエースに、こちらはニコニコと当たり障りのない営業スマイルでアズールがその舌を回す。
「まずは、デュースさん。素晴らしい活躍でした!
将来有望な1年生を持てて、
陸上部の方々もさぞ鼻が高いでしょう。
こちらも大変稼がせて…ゴホン。
いえ、楽しませて頂きました」
アズールがいつになく満足気な笑顔で、両手を高らかに上げた。その隣に控える双子も何を考えているか分からない…不敵な笑みを光らせる。
「そう怖がった顔をなさらないで……。
僕達が用があるのは、
そこにお座りのオクタヴィネル寮2年生。
ヘンリー・ぺスカさんですよ」
「そうそ~う。お代を回収しにきましたぁ~。
あはっ」
お代…その台詞に、あの先輩がアズールと取引したことは分かった。だが、タイミングが良すぎる登場に疑問が沸く。
「先ほどまで観戦していたような口ぶりですね…」
「…ええ、実際コチラで’見て’いましたので」
「じゃーんっ♪ 小エビちゃん、これ何だと思う?」
フロイドが目の前に差し出してきたのは、なんの変哲もない彼の携帯だ。だが、その画面に映っていたのは……
「「「勝負が中継されてるっーーー!?」」」
そこには先ほどまでのデュース達の勝負映像が、マジカメ生放送で流されていた。アカウントはしっかり「公式モストロ・ラウンジ・カフェ」だった。
「ど、どーゆーーことですか!?」
当人のデュースはあわてて叫ぶ。
「アズール先輩。ついにマジチューバーになる気ですか?」
「あはっ。ユーチューバーみたいに言うじゃん。
小エビちゃんウケる♡」
「失礼な。僕はあくま彼の提案を受けて差し上げただけですよ。
そちらのデュースさんとの勝負。
マジカメで生中継するかわりに、賭けで勝った資金のすべてをモストロ・ラウンジに寄付してくださるそうで。
本日のみの期間限定イベントして、
イグニハイド寮の寮長イデアさん監修でお送りしています」
「賭けっ!?」
つまりデュースとの勝負をダシに、八百長してたってこと?
商売根性たくましすぎる…。