第4章 True friend(マブダチといつもの日常)
「しょうがないんだから…」と
少し困ったような、
それでも嬉しそうなユウの顔をみて…
彼女の笑顔を、自分が少しでも守れたのなら
今回の騒動も悪くなかったと思った。
◆
「こんなの…反則だろ!魔法で妨害しやがって…!」
歩くたびに目の前に雷が落ちる恐怖からなのか、膝をかくかくさせ情けない姿で男が叫んだ。
(明らかに自分だって、妨害行為してただろ)とエース達は内心吐き捨てるが、「え~?妨害したっていう証拠はあるんデスカ~?」と煽った。
「ふざけるな!(…あいつらは、何やってんだ)」
協力者がいるベンチを振り返り見ると、大の男たちが1年のジャックとエペルの手によって伸びている姿があり、「ヒィ!」と悲鳴が零れた。
悪だくみも潰され、正真正銘
今回の勝者はデュースとなった。
先ほどまで、もう立ち上がれないと思っていた体に鞭を打ち、男の前に立ちはだかる。
「…ケジメはしっかりつけてもらいますよ、先輩。
ユウに謝ってください」
ボキボキ…と両手を鳴らすデュースの圧に
圧倒された男は、おとなしく敗北を受け入れた。
「か、監督生…。…馬鹿にして、すまなかった」
絞り出すように小さい声だったが、
確かに謝罪の言葉だった。
デュースの意地が勝ったことに、グリムは飛び跳ねて喜び、エースはそんなデュースの肩に手を回して「まあ、デュースクンにしてはよくやったじゃん」とねぎらった。
「からかうな、エース」とじゃれ合う姿は、いつもの二人だった。
「人間!突然、僕の力を貸せなどと……
本来であれば言語道断の行いだぞ!
…普段、若様が目にかけているお前だから許したもの…モガァッ!」
「……セベク、ちょっとダマッテ」
この口か。余計なことを大きな声で騒ぐのは。
おだまり!…しばらくお口チャック!
「離せェッ!」と耳を赤くして抵抗するセベクだが、ユウを傷つけないよう無理に引きはがすことはしない。
大変、可愛くてよろしい。
一件落着、無事終了に見えたその時、
場にそぐわない
ぱちぱちぱち…と手を叩く音が聞こえた。
「これはこれは、皆さんお揃いで」
現れたのは、
オクタヴィネル寮長
アズール・アーシェングロットと
傍らに控える双子の姿だった。