第4章 True friend(マブダチといつもの日常)
ジェイドとフロイドが座り込んでいるヘンリーの前に出る。NECの中でも頭一個分高い190cmの彼らと、座り込んでいる先輩との身長差がエグい。
「では、ヘンリーさん。
…お代をお支払いいただけますか?」
「っ…僕は試合で負けたんだっ!
…賭けにも負けた。
渡せるものなんて…何もないぞ」
「あ゛?
…『気象薬』アズールにもらっておいて、
負けたから払えませんでした~…ってそれおかしくね?」
「ちょ、ちょっと待てくれ!その話はあくまでの賭けに勝った場合で…負けた場合の支払いなんて…!」
「…ええ。残念なことに今回ヘンリーさんは負けてしまいましたので、賭け金の二倍ベット(上乗せ)して頂く必要があります。
本日はそちらの回収に参りました。
ああ…
担保にしていた火の魔法は
お返し出来ませんので、ご了承下さい」
アズールが黄金の契約書を取り出し、
言い逃れできないように目先に突き付けた。
先輩の顔がみるみるしない内に、
真っ青になっていく。
「んげぇっ……
じゃあ…先輩方、オレ達は帰りますんでっ!
お先失礼シマース!」
エース自身も散々こき使われ、絞められた恐怖は今でも覚えている。あんな目に合うなんて二度と御免だ。
関らないが吉。
さっさとユウ連れて、オサラバしよう。
そう決めたエースの行動は誰よりも早かった。
「…う、うん」
エースに手をひっぱられるユウ。
応援席には、心配顔のジャックと手を振るエペルが見えた。
早く二人の元にも戻ってあげないと…。
でも……。
自業自得というべきなのだが、目の前のこれから起こるべきであろう彼の未来を思うと、思いやりの国で育ったユウの良心が痛んだ。
(どうか、
アズール先輩に許してもらえますように…)
望み薄だとは思うが…。
分かっていても、
心の中で祈らずにいられなかった。