第18章 Broken(抜け駆けナシ・恋愛協定は破られた)中
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お昼休み。
授業が終わると、お目当てのランチをゲットする為、食堂は生徒達の熱気で溢れていた。
アズールもその例外に漏れず、席が埋まらない内に早足で場所を確保する。普段先頭を切って小魚を蹴散らして歩くフロイドは、何故かこんな日に限って「気分じゃねぇー」と言ってどこかに泳いで行ってしまった。
取ってきたランチの摂取カロリーを脳内で素早く計算し、バランス良くかつ見た目も重視して皿に並べていく。金曜日恒例のご褒美から揚げも忘れはしない。
今週も商売繫盛、前年比目標金額も達成。
成績優秀、頭脳明晰。
清潔かつ上品で、身だしなみもバッチリ。
さすがは僕。
心の中で今週の自己評価を終え、
ご褒美のから揚げを噛みしめる。
…そう。
いつもなら至福の時間を堪能しているはずだった。
視界の外に広がる騒がしい喧騒とは正反対に、縦に長い身長を縮め、こじんまりと目の前に座っている仏頂面。またの名を副寮長ジェイド・リーチ。辛気臭い顔に食欲もイワシの群れの如く逃げだした。
この男。恋する人魚が如く朝からご機嫌な歌声を響かせ、もれなく寮生達を凍り付かせるという怪事件を起こしたばかりだ。
それに加えて、何やらユウさんの件で裏工作に一枚嚙んでいるらしく、悪巧みに勤しんでいる姿を最近よく目にする。その手際は、頭脳派と言われるオクタヴィネルの特性を存分に発揮したものだった。
東に迷えるハーツラビュルがいれば、
スカラビアと手を組ませ。
日頃から素行の悪い生徒をピックアップして、
西のサバナクロー寮長へ横流し。
南のポムフィオーレには、チクチクと嫌味を言って。
無関心を装う北のデェアソムニアはおだてて味方につける。
それほど日にちも立っていないのに、会議からよくそこまで出来たものだ。我が右腕ながら関心する。普段からその力を発揮しろ!と叫びたくなるのは、散々振り回された側の言い分でもある。
「恋は人を狂わせる」という名言はあながち間違ってはいないかもしれない。
この物騒なウツボの幼馴染は、面白がって
文字通り本当にクレイジーな行動を取ってしまうの何故だろうか。それで彼女に嫌われでもしたら元も子もないのに…。
普段冴えわたる明晰な頭脳は、ユウの事となるとポンコツになるのだからどうしようもない。