第18章 Broken(抜け駆けナシ・恋愛協定は破られた)中
「やめとけって!
こんな話、寮長や副寮長に聞かれでもしたら…」
「ユウちゃん専用のモストロの制服見た瞬間…俺、闇の鏡がオクタヴィネルに選んでくれたこと泣いて感謝した」
「わかる。キッチンスタッフだけしか見れないってのも最高だよな!陸に上がってきて良かったわ。
普段大き目な制服で分かんないケド、タイトスカートだとお尻とか足のラインとか見えてめっちゃイイ!」
「な!意外と胸も大きくて…」
「お、おい!」
「なァーに面白い話してんの?オレもまぜてよ♡」
「「「ひぃッ!!フロイド先輩ッ?!」」」
背後に現れたの巨人は、まさしく獰猛な肉食魚だった。
顔は笑顔だが、目が笑っていない。その口元から見える鋭いエナメルが脅すようにキラリと光る。
一瞬で死を悟った寮生達は、この凶器のウツボから逃げて生き延びる方法を必死に考えた。命乞いだ。
「ち、ちがうんです…!フロイド先輩。オレ達…」
「ナニそんなビビッってんの?
1年の小魚ちゃんたち」
「別に…そんな面白い話なんて」
フロイドのあの嵐のように上下乱流する気分の浮き沈みを、唯一安定させる人物がいる。それが先ほど話題に上がっていたオンボロ寮の監督生ユウだ。学園内で生徒・教師共に知らぬ者がいない程最近では常識化している。
時限爆弾のようなフロイドになついてるユウの姿を散々見てるし(羨ましくてくやしい)、フロイドの方も彼女を溺愛しているのを知っている。
だからこそ、下世話な話題を一番聞かせてはいけないのだ。というかリーチ兄弟の前でユウの話題は地雷である。
「だから言ったろ!」と一匹の小魚の絶望した顔が全てを物語っていた。
「そんなに、発情する相手が欲しいなら
全員仲良く、海底でお散歩させてやるよ」
「「「ひ、ひひいいいいッッ……!!」」
廊下に響いた悲鳴を残して、三人の姿は海の底へと消えた。