第17章 Broken(抜け駆けナシ・恋愛協定は破られた)上
最近異様に告白やらラブレターをもらう事が多いが、ジェイコブのサイトを見た時から皆自分に好意を持っているのではなく、女の子に飢えているゆえの遊び。飽きれば収まる…くらいにしか考えていなかった。そんなユウにとってレオナの「恋人を作れ」発言は大いに波紋を広げた。
急に恋人を作れって言われても……。
そもそも彼氏なんていた事がなかったのだから、どうやって作るのかも分からないし…。
皆を…どこか夢の世界の住人としてぼんやり見ていたことを反省したばかりだ。いきなり恋愛感情を持てと言われても中々難しい所である。
ーー『愛することを、恐れてはいけないよ』
ーー『お前は人に好意を与えるのは得意だが、
他人からの好意を拒絶するきらいがあるからな』
真実の泉のおばあさん。
友人のツノたろうの言葉を思い出す。
自分が生きていた世界とは全く違う世界。
この世界で……
私は、だれかを愛してもいいのだろうか…?
答えのない問いが迷宮入りしていく。
そう言えば、真実の泉はこうも言っていた。
ーー『本当の自分を知れば、
お前自身が、何を望んでいるかもわかるはずさ』
(………本当の自分)
それを知れば、少しは自分の道を決められるのだろうか。…とりあえず昨夜の件は学園長先生に相談してみよう。
そう一人決意し、結局恋愛という単語はどこへやら。あっという間に風に飛ばされた。
コイツ今絶対違うこと考えてんな…とジト目で睨むレオナ。不満がグルル…と抗議の鳴き声で漏れ出てしまう。するとそこに、奇妙な雰囲気の二人の間に割り込んで、トコトコと素早い動きで見慣れた魔獣がユウに突進した。(グリム!ステイ!)