第17章 Broken(抜け駆けナシ・恋愛協定は破られた)上
「そんな殺生なァーーー!!?
ユウチャンのおかげでPV数も激的に増えたんだよ!今さら消すなんて死の宣告と一緒ォ!」
「フーーン。
じゃあ、このパソコンが死ぬか、自分が死ぬかどっちか選んで」
「小悪魔ッッ??!」
普段おどおどしい喋り方のジェイコブも命の次に大事なPCが人質に取られたとなっちゃ、喋り方にもキレが出る。イグニハイド寮生からPC機器関連すべてとりあげちゃえば陽キャに変身するでは?と思わずユウは思った。(鬼!)
「そもそも、ネットに本人の許可なく個人情報を上げるのはどうなの。
しかも先輩方の名前まで使って、賭けをするなんて!信じられない」
「そ、そりゃ、そう言われると苦しいケド…。
そもそも男子校にキミみたない可愛い子がいるのが問題なんだよ?!話題ならないわけ、ナイッッ!!こんなんゴシップ屋に取っちゃ、熱いネタに他ならないワケであって……ア゛ーーー!!ヤメテー!!その機種高かったんだから!壊さないで”」
「………………………ジェイコブ」
「ひゃぃ。…スイマセンデシタ」
なあにがゴシップ屋よ。
乙女の恋心を玩具にしようするなんて…!
この学園の男達は本当にデリカシーに欠ける。
普段滅多に感情を他人にぶつける事を良しとしないユウであっても、これには流石に憤慨した。
心ない人達が陰で良からぬ事を言っているのは彼女自身も承知しているし、魔力がない自分がこの学園に通っている矛盾を誰よりも感じている。だからと言ってハイそうですかと出ていける身分でもないので、必死に勉強に励み、せめて月並みになれるように努力してきたのだ。
それでも、プライベートな事までこうして面白おかしく書き立てることないじゃないか。
ユウの中の”女の子”の部分。
今まで触れられてこなかった心が傷つく音がした。