第17章 Broken(抜け駆けナシ・恋愛協定は破られた)上
…俺が彼女に、望むものなんて…。
「ジャミル!ユウちゃんって凄く可愛いね。髪が私達と同じくらい暗いのに、肌が透き通るほど真っ白。綺麗だなァ。
見たことないけど、雪…ってユウちゃんの肌みたいに真っ白な色なのかな?…いつか三人で見に行ってみたいね」
「ジャミル〜まだデートにも誘ってないの?私てっきりいい感じなんだと思ってたけど…。ナニ、妹みたい?妹は私だけで十分でしょ!
ユウちゃんみたいな可愛い子、他の男がほっとかないんだからさ。はやいとこ手出しちゃいなよ!
特にツノの先輩。
…あれは女のカン的にあやしい~。絶対黒だね。
ユウちゃん…早くモノにしてよ!
私は大歓迎だから♡」
「女の子が下品な言葉を使うな!」
常日頃から聞かされるナジュマからの小言が脳内に蘇る。
ふと隣を歩く少女を見て、
学園の誰よりも白く透明な肌に触れたくなった。
乾いた砂漠とは正反対の、
静かにシトシトと降り積もる雪を彼女と一緒に見れるなら…
隣で、共に凍えた肌を温めあえるなら…
少年はそれ以上に望む物なんて…
何もないと思ってしまった。
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