• テキストサイズ

【ツイステ】監督生はプリンセス(長編)

第4章 True friend(マブダチといつもの日常)




「ジャック。これは俺とそいつのタイマンだ。

……先輩。

覚悟、出来てますよね」


「ああ。…ほら、慈悲の心で
退部届を持ってきてやったぞ。



…自分の行動を後悔するんだな、スペード」


お互いに牽制するように
グランドのスタート地点に立つ。


覆うものがなくなった分、

二人はあっという間に濡れ鼠だ。

それでも双方譲る気は毛頭なかった。



「あっ、オイ!…ユウ!」


ジャックが引き留めようと伸ばした腕が空を切る。


意を決して雨の中に飛び出し、
スタート地点にいるデュースに駆け寄った。


「デュースー!」

「おい!風邪ひくぞ!…はやくエース達の所に…」


(デュースだって風邪引いちゃうよ!馬鹿っ!)

そう叫びたい気持ちを押し殺して、
彼の言葉を遮った。

まっすぐ拳をグッと握りしめた手を、
目の前に突き出す。

それを見てデュースは、「はっ」としたような顔をした。





ザァァーーー



冷たい雨音が鼓膜を揺らす。


彼のネイビーの髪から、

しとしと…と水滴が零れ落ちる。



普段の表情と違って、ユウの顔は


珍しく怒っているように真剣だった。


アースカラーとピーコックグリーン瞳の色が


美しく絡まると



彼女は決意したように拳を突き出した。



デュースも真似するように、腕を上げる。



コツンーーとぶつけ合った瞬間、


触れ合った部分は


熱を持ったように燃え上がった。



「負けないでね」

「任せとけ」


それ以上の言葉は必要なかった。


パタパタと小走りで
エース達の所へ戻っていく。


エースが大きなタオルを両手で広げて待っている姿が見えて、勢いよくその腕に飛び込んだ。


一緒に濡れてくれた相棒のグリムは、
ぶるぶると豪快に水を弾き飛ばして
ジャックに叱られた。







「位置について……よーい」


ードォンッ!


審判役の先輩が魔法で花火を上げると、
それを合図に二人が走り出す。


勝負は400m短距離種目。
先にゴールテープを切った方が勝ちだ。


だが、あいにくの豪雨で足元も走りにくく…
水を吸った運動着は体に重たく圧し掛かる。



だが、大会で表彰されたことは事は伊達ではないようで、スタートしてからデュースが大きく差をつけた。



/ 209ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp