第17章 Broken(抜け駆けナシ・恋愛協定は破られた)上
「(…ルーク先輩ヤバくね?普通に変態じゃん)」
「(それよりもエース。僕達も部外者なのに此処にいていいのか?)」
「(ユウと一番関ってるのはオレらなんだから、当たり前だろ?部外者は先輩達の方じゃんっ)」
だけど権力を持ってるのは事実だから、自分の知らない所で好き勝手ユウとのことを禁じられるのは絶対にイヤだ。リドルから秘密の掟を聞いて以来、エースはこの会議に絶対参加すると決め、トレイに頼んで無理矢理ねじ込んでもらったのだ。
「フン。…まさか、一発目に手を出したのがあのエペルとはな。ひょろひょろなお嬢ちゃんかと思ったが、ちったぁー骨のある男じゃねぇか。寮長も形なし。いや、玉無しか?ハハハッ!」
「………レオナ。今すぐその下品な口閉じなさい。さもないと、アタシが黙らすわよ」
部屋中にヴィルの魔力がピリピリと摩擦し、その場の全員にプレッシャーが走った。だが、これもリドルの一括で中和される。
「静粛に!!
グレートセブンの精神に基く七寮で定めた新しいルール”卒業までは、オンボロ寮のユウに手は出さない”に反したポムフィオーレは、他寮の邪魔をしないと承諾して頂きたい。…異論はないね?」
「……ええ、分かったわ」
ギリッと悔しそうに唇を噛むヴィル。
血の飢えた獣が多い中で、
比較的ゆるゆるしていたカリムが口を開いた。
「なぁ。ジャミル
好きになった相手に好きって伝えるのが何が悪いんだ?」
ジャミルは内心声を大きくして叫んだ。
(や め て く れ !!
お前は幼稚園児か?!そして俺はお前の保護者かなんかか?!ナゼナニ期はいい加減卒業しろ!てか、この殺気立った場所で
よくそんなボリュームで話せるなオイ。ヴィル先輩の「人を殺して来ました」みたいな表情見てから物言え…!)
心の声を包み隠すのも、もう面倒なので三徹明けのサラリーマンみたいな顔でジャミルはしょうがなくカリムに答えた。
「ハァ…。別に、悪い事ではないが…。
ここは男子校で、彼女は学園唯一の女性だ。むさくるしい男どもの中にある唯一の癒しのオアシスと言ってもいい。その彼女がどこの馬の骨かも分からない男と付き合ってみろ。喧嘩どころの騒ぎじゃない。下手をすれば殺し合いだ」