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【ツイステ】監督生はプリンセス(長編)

第16章 Hecate's tears(ヘカテーの涙)




一瞬。
水面に浮かび上がった人物は紛れもない母の声だった。

『答えはあなた自身にあるのよ。
答えもあなたを探してる。
あなたが求めれば、きっと見つかるわ』


「…お母さん」

声は老婆の仮面に戻っていた。

「最後に一つだけ、いいことを教えてあげよう。

困ったとき、助けが欲しいときは
精霊たちに歌いかけてごらんなさい。

精霊は大地にも、水にも空にもいる。

いつもお前を声を聴き、見守り、守ってくれる。
お前は皆から、愛されているんだ。

『愛することを、恐れてはいけないよ。
大切なのは勇気と、想像力(イマジネーション)だ』」


「待って…、いかないで…!」


そう言い残して仮面は海底に消えていく。思わず凍てつく水面に手を突っ込むも、何も掴むことは出来なかった。

「ユウ、泉が答えてくれるのは一つダケなんだ!

それにさっきから、外の世界の強い魔力干渉を受けてる。もうこの空間を維持できるのも数分しかないヨ…!」

「そーゆー大事なことは、もっと最初に言って!」

「残念だけど、お別れの時間ダ…。

キミにとって、ココでの時間が
これから先の人生で有意義になることを祈ってヨ」

「…キュー」

「そんな…。
また、この場所に来ることはできないの?」

ユウの問いかけに、妖精はむぎゅっと唇を噛んだ。まる悲しみを押し殺してるようにも見えた。

次の瞬間、口が開いたかと思えば感極まったマシンガントークがさく裂した。

「ユウ…どうか、忘れないで!

君は自分が思ってる以上に勇敢で、見た目以上に強くて、思っている以上に頭がいいということを。


魔法なんかよりも、素晴らしい才能を持ってるってコトも!」

「キュー!!キュー!!」

何倍も小さい手で、ユウの手を握り、見つめる瞳は真剣だった。クスクスも残された時間で何かを伝えようと、必死に鳴いている。

なぜそんな必死に伝えようとしてくれるのか…。
初対面なはずなのに、一分一秒を無駄に出来ないとばかりに彼らは私に向かって熱く言葉をぶつけてくる。



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