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【ツイステ】監督生はプリンセス(長編)

第15章 In the name of love(オクタの恋愛相談室)



◆番外編:モスラのモブたち


時は少し遡る。ジェイドが暴走して海底に泳ぎ去った直後のモストロ・ラウンジ。ー


「アズール先輩、お料理美味しかったです。
ありがとうございました」

「いえいえ、いいんですよ。
お礼はぜひマジカメに書き込んでください。特にヴィルさん」

「……がめつい商売根性だこと。ご馳走様」

「またのお越しをお待ちしてます」

支配人含めスタッフ一同が、綺麗に揃って腰を曲げる。

「あっ」

小さく甘い声でエビが跳ねたと思ったら、パタパタと小さい鰭を回転させてこちらへ向かってくる。

「…どうかしましたか?」

ヴィルがこちらを見ている手前、営業スマイルを崩さず紳士的にアズールが尋ねると、甘エビは声を弾ませて答えた。

「VDCの間、長らくお休み頂きありがとうございました。これ、良かったら皆さんで食べてください。

明日からはまたキリキリ働きますね、オーナー」

アズールのマネなのか、わざとらしい言い方をして甘エビはヴィルの元へ戻っていってしまった。

ご丁寧に可愛くラッピングされた紙袋の中には、彼女の手作りと思われる狐色に焼けたフィッシュパイが入っていた。スンスンと鼻を掠める香ばしい匂いが食欲をそそる。大方保存魔法でもヴィルがかけたんだろう。

女性ならではの細かい気遣いも、彼女の好感が上げる一つの要因だろう。案の定アズールはユウの律義な姿勢を好ましく思っていた。


二人を出口まで見送り、ようやく笑顔の仮面も取れる。フロイドは今か今かと不安げに、甘エビの後ろ姿とアズールの顔を交互に伺っていた。本当は今すぐにでも片割れの傍に泳いでいきたいのだろう。

アズールは、海底に消えた腹心の後始末を考えると重い溜息が漏らした。ハットを取り、ユウからもらった手土産を片手に殺伐としたキッチンへ向かう。

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