第4章 True friend(マブダチといつもの日常)
「…チッ!顔がすこし綺麗だからって
調子に乗りやがって。
どこに行くにも女連れとはいいご身分だな。
スペード!
まあ、魔法が使えない女なんて、
お前にはお似合いだよ」
「ハハハッ!」人を馬鹿にしたような高笑いをした男の手を突如デュースが思いっきり掴んだ。
「痛ァッ!」
「………っまれ」
「はぁ…?」
これはマズイ。
長い付き合いでもあるユウとエースは、次に何が起こるのかを悟り、咄嗟に止めようとしたが間に合わなかった。
「ユウに謝れってっつってんだよ!!アぁ!?」
「ヒィッ、いきなりなんだよ!?」
「ユウはな、確かに魔法は使えねーけど
そこら辺にいる男どもより根性キマッた奴なんだよ!」
「え、これ貶されてる?」
「違う世界に飛ばされて、
学園長から変な魔獣押し付けられて………
それでも必死に諦めず努力してんだ。
お前が馬鹿にして、
笑っていいような奴じゃねーんだよッ!
分かったかゴラァッ!」
「デュース」泣
「…いや、ツッコめよ。」
「よく言ったんだゾ!
…オレ様の子分は、
魔法みたいにうまい料理も作ってくれるし
エースとデュースより成績もいいし、
すごいやつなんだゾ!
親分のオレ様はもっとすごいけどな!」
「グリム」泣
「なッッッんかムカつくんですケド。
……まあ、座学の成績はこの中ではコイツが
一番いいのは事実だし。
先輩も、魔法が使えないからってなめてると
痛い目みますよ~?」
デュースを苦しめる為に、監督生に絡みついたがまさかの4対1で反撃されると思わず、男は身を固くした。
目の間には今にも殴りかかってきそうなデュースがおり、普段の彼との違いに思わず動揺して本音を口走ってしまった。
「……お、お前が悪いんだ。スペードッ!
まだ一年生の癖に…
選抜メンバーに選ばれやがって。
賞を取ったのだってまぐれだ!
本当だったらこの僕が、その試合にでて
僕が受賞するはずだったんだッッ!」
恐ろしいのか、興奮しているせいか男は体を震わせながら大声を出して、デュースに怒鳴り喚く。しかし、そのどれもが試合に出れなかったただの八つ当たりでしかなかった。