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【ツイステ】監督生はプリンセス(長編)

第14章 Crimson apple(真っ赤な林檎はいかが?)



「……な、なんでアンタに教えなきゃいけないのっ」

ツンデレ気味な台詞が口から飛び出した。

思わずテーブルの下で地団駄を踏む。「今、目の前の女性に心奪われてるわ」くらい言えればいいのに!



「先輩みたいな綺麗な人は、
きっと引く手あまたなんだろうなぁ…」

(そんなわけないじゃない!
アタシをこんなに振り回せるなんてユウだけよ)


口に出せたらどれだけよかったか。
ひとえにカッコ悪い姿を彼女に晒したくなかったプロ根性である。


フゥーと息を吐いて、
気持ちを落ち着けるよう紅茶を口にした。

先ほど他人の目も気にせず、愛の言葉を告白をしたエペルに敬意を覚える。男ならそれがどれだけ勇気がいる行為か分かるだろう。


(さすがに目の前であんなもの見せられて、
自分も…だなんて美しくないわ。)


他の男に取られそうになる焦燥感は
嫌になる程味わったが。

それでも彼女が自分を見るまで、
コノの感情に名前を付けるもんですか。

今はいいわ。だれよりも
”頼りになる先輩”の役柄でいてあげる。

ヴィルはそう結論づけて、冷えた料理を口にした。

ただ彼も年相応な初恋にヒヨってるだけだど、
学校では誰も教えてくれない。





「アズールアズールアズール」

「Siriに話しかけるテンションで僕を呼ぶのやめてもらえます?」

「まーたジェイドが変なことやってる」

「………やっぱり僕はどこかおかしい」

「マジックマッシュルームでも食べたんじゃないか?」

「はっ倒しますよ」


その目はマリアナ海溝よりも深く鋭かった。

小魚達は見ただけで震えあがって逃げ惑う。


だが、金にもならない相談はしない主義のアズールは、鏡の前に湧いて出たポムフィオーレ生の掃除で忙しい。杖を振って遠隔操作でタコ足を動かしている。これは言わずもが高等魔法にあたり、大量のブロットを消費している為、余計機嫌が悪かった。


客にあのヴィル・シェーンハイトが来ているのだ。彼の口コミは良くも悪くも今後のラウンジの評判に関わる。

ウツボの片方(ジェイド)がポンコツになるせいで、もう片方(フロイド)に大量に仕事を振った。

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