第12章 Master(先生はジェイド先輩)
「取れましたっ!これでどうでしょうか?」
ヤッタ!と本日最大のミッションをクリアしたユウは、満面の笑みをジェイドに向け、その裸体をバチっと見てしまう。
ついでに、ふくふくと笑いをこらえた彼の顔も……。
「ふふ゛っ…ん。ありがとうございました。
ユウさん。
おかげでだいぶ、涼しくなりました」
「せ、先輩っ!私の事からかってたんですか?!
ひどいですっ…!」
「これは失礼しました。
貴女が慈悲をかけてくれたおかげで、
ここまで回復することが出来たというのに…。
ユウさんを見ると、つい…。
意地悪したくなってしまって…」
「病人の時まで、意地悪しなくていいですよ!
もうっ!
……心配したじゃないですかっ」
「……!」
くしゃっと顔を歪ませ、泣きそうな表情のユウに、ジェイドは「おや?」と驚いて目を丸くした。彼女のお人好しな性格から助けてくれたと思っていたが、まさか自分を心配して看病してくれたとは。
最初の頃との変わりように……
なぜか胸が熱くなった。
(また、熱が再熱してきたみたいですね…)
これが因果応報と言うべきか、その胸の熱さは、熱が治っても続くことを本人は全く気付いていなかった。
「いつもの調子に戻って良かったです。
身体を拭くので、
まだ安静にしていてくださいね」
ユウがタオルで体を撫でる度に、
スーと冷たい水が海を思わせて気持ちが良い。
ジェイドは珍しく言われがまま身を任せて、
目を閉じてゆっくり息を吐いた。
リラックスしてくれている様子に、ユウも一安心する。引き締まった男性の肉体は、初めて見たユウにとって妙に胸をざわつかせたが。
「ジェイド先輩…、
本当に何も着なくてもいいんですか?
風邪悪化しちゃいません?」
ある程度、汗を拭き終わった状態で
ジェイドに尋ねる。
「僕達人魚は寒さに強いので大丈夫ですよ。
服というのはなかなか窮屈で…まだ慣れません。
ですが、このままではユウさんが先に
倒れてしまいそうですね」
「えっ?!」
そんなに顔に出ていた!?と咄嗟に両手で顔を抑え、恥ずかしくて真っ赤になる。