第1章 誕辰【※冨岡義勇】
夜も更けて来た頃、寝室で趣味の詰将棋に興じていた義勇は、ふと時計を見た。そういえば、風呂に行った陽華が長い時間戻ってない。
(まさか、風呂場で寝た?)
様子を見てこようと立ち上がろうとした時、部屋の戸が開いて、湯上がり浴衣姿の陽華が入ってきた。
陽華はもじもじと何か言いたそうに、義勇に近寄ると、前に座り込んだ。
「あ、あのね、義勇。私まだ、義勇に本当の贈り物をあげてなくて…、その…、も…貰ってくれる?」
「?」
意味がわからず怪訝な顔を浮かべる義勇の前で、陽華はおもむろに立ち上がると、浴衣の紐に手を掛けた。
しゅるっと音を立てて、紐が落ちていく。そのまま陽華は浴衣の前を開くと、その中から現れたのは、大切な部分を桃色のリボンで隠した艶かしい陽華の肢体だった。
「なっ…!」
義勇は衝撃で口をあんぐりと開け、パクパクさせた。その顔に陽華は慌てて義勇の前にしゃがみこんだ。
「やっぱり引いたよね?…でも、他にあげられる物が思い付かなくて…、」
そう言い訳するようにしゃべる陽華を制するように、義勇の腕が伸びてきて、陽華の身体はすっぽりと義勇の腕の中に取り込まれた。
「そんな可愛い姿で現れて、俺を殺すつもりか?興奮するに、決まっているだろう。」
誰の入れ知恵かはなんとなく解る。義勇はその人物に、今回ばかりは礼を言いたくなった。義勇は陽華の耳元に口を付けると、優しく囁いた。
「…こんなことして、どうなっても知らないぞ?」
「…義勇にあげたんだから、もう義勇の物だよ。だから今日は、義勇の好きにしていいよ。」
ブチッ!
義勇の頭の中で、理性の糸が切れる音が鳴り響いた。
「なら、手加減は無しでいいな?俺の理性を崩壊させた責任は取って貰う。」
義勇はそう言うと、陽華の身体を布団に押し倒し、その唇に食らいついた。