第8章 指南【※竈門炭治郎】
善逸の質問に、義勇は明らかに驚いたように、眉根を寄せた。
「……女が…悦ぶ?……考えたこともなかったな。基本的にいつも、向こうが全部してくれる。」
突然飛び出した、義勇の問題ある発言に、炭治郎は驚きで目を見開き、善逸は衝撃を受けたように、目ン玉を飛び出させた。
「なっ!!ちょ、ちょっと、聞きました!?炭治郎、この人、マグロだよっ!女の人が放って置かなすぎて、全部やってもらってるよ?…何、その夢のような状況。……きっと、女の人が満足出来なくても、イケメンだから許されるんでしょーね!!」
「そんなことはない。いつも最後は、最高だったと、感謝される。」
義勇の発言に、善逸の目玉がさらに飛び出た。
「え、自慢?この人今、さらっと、自慢入ったよっ?何?何もしなくても、満足してもらえるって何なの?そんな最高なモノをお持ちなの?」
善逸が信じられないような面持ちで、嫌味を言うと、炭治郎が慌てて善逸を止める。
「いいかげんにしろ、善逸っ!教えを請うておいて、失礼だぞ!!」
「……炭治郎、マグロとはなんだ?」
「えぇ!?」
真面目な顔で、そう問う義勇に、炭治郎は慌てて、答えた。
「えっ!?あ…そのっ…、義勇さんが高級過ぎて、女の人が尽くしたくなっちゃうって…こと…かな?」
そう言って、わざとらしく首をひねる炭治郎の手首を、善逸が掴んで立ち上がった。
「炭治郎、帰るぞ!こんなマグロの言うこと、何の参考にもならないよっ!!じゃあ、お世話になりましたっ!」
「善逸っ!!義勇さん、すいませんでしたぁ!!」
意味がわからず眉を潜める義勇を残し、炭治郎と善逸は水柱邸を後にした。