第8章 指南【※竈門炭治郎】
「それでも一回目はさ、かろうじて、中には出さなかったんだ。善逸、俺は頑張っただろ?」
「いや、炭治郎。そんな生々しい話しは、聞きたくねーわ。」
そう言って、耳を塞ぐ善逸の腕を、炭治郎が強く握りしめた。
「善逸っ!!教えてくれっ!どうしたら、俺は陽華に満足してもらえるようになるんだ。」
「いや、俺に聞くなよ。俺だって、経験なんかないんだ。そうだよっ、お前が禰豆子ちゃんに触れることさえ、許してくれないからだぞっ!!」
そう言って、涙目で炭治郎を睨む。そんな善逸を、突然豹変した炭治郎がギロリと睨んだ。
「善逸お前、禰豆子に手を出したら、どうなるか、わかってるよな?」
「いいかげん、妹離れしろって!お前がそんなだから、俺がいつまで経っても、童貞なんじゃないかっ!!」
そう言って、泣きわめいた後、落ち着いた善逸は、炭治郎に一つの案を出した。
「やっぱり、先人に教えを乞うしか、ないんじゃないか?」
「先人……?」
善逸の提案に、炭治郎は首をひねった。
・
水柱邸にて
先人たちの意見、教えを乞う為、炭治郎と善逸は、水柱邸に訪れた。
水柱邸の道場で、炭治郎らと正座で向かい合った水柱・冨岡義勇は、真正面から炭治郎を見据えながら、問いかけた。
「……それで、俺に何を聞きに来た?」
とりあえずの経緯を聞いた義勇が、顔色一つ変えず、炭治郎に問いかけると、その隣りにいた善逸が不審そうに眉を潜めた。
「炭治郎、何でこの人に聞きに来たんだよ?顔はいいけど、真面目で鬼殺命過ぎて、そんなに経験なんて無さそうだけどな。」
「失礼な。女の経験くらいある。」
義勇が、善逸の言葉に心外そうな顔を浮かべると、炭治郎が善逸を嗜めるようこう言った。
「そうだぞ、善逸。こんなにイケメンなんだ、女の人の方が放って置かないだろ!?」
「じゃ、聞きますけどね。どうやったら、女の人が悦ぶか、わかりますか?」