【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】
第1章 #1 眠・謎・力
ーーー爆豪sideーーー
一瞬の衝撃で、意識が引っ張られる。
なんだ?何が起きた?
確か俺は…
ぼんやりとした意識の中、息ができることに気づいた本能が、瞬間的に深呼吸を促す。
全身のけだるさ。力が失われていく感覚。
何が起きたかわからないまま頭を振り、光の先へと顔を出す。
「ぶっ…ぷはっ…」
突然できたその穴から、やっとの思いで顔を出し、一瞬で肺へと酸素を送る。
頭がぼーっとして動きが鈍い…
何が起きてんだ…くそっ…
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学校の帰り道、ヴィランに遭遇して、追いかけまわしてたところに出くわしたあの”女”。
ヴィランを見て足すくんじまってたあの”女”。
本能が「助けろ」といい、体が動いてたその時には、俺は女を抱えて爆速ターボで敵に背を向けて逃げいた。
逃げるとかクソカッコ悪ぃなマジで!!
クソがっ…クソったれが!!!
そんなことを思いつつ女が避難できる場所を探し、ビルの屋上に女を置いて、俺はまたヴィランのもとへと飛んだ。
途中でゴチャゴチャ言われた気がしたが、ンなもん聞いてらんねェ。
うるせぇんだっつの。
あのクソヴィランは、俺の敵だ!!!
俺が、ぶっ殺す!!
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こそこそと路地裏に逃げ込んだヴィランを大通りへと引っ張り出し、こっからが俺の見せ場だとばかりに手のひらを敵へ向けたその瞬間、声がした。
「爆豪!!!!」
思わず声のもとへ目線を向けたその瞬間、目の前が真っ暗になった。
(クソッ…)
消えゆく意識の中で、最後に見たあいつは…
あの女…
あのクソ女っ…
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「くごう…爆豪…!」
再び遠のいていた意識を呼びもどすかの如く、クソ女の声がした。
俺の意識を引いた女。
一度だけじゃなく二度までも!!クソが…っ…
カッ、と目を見開いて声の方へと意識を向けると、そこには、俺の腕を掴んだままヴィランに埋もれているあの”クソ女”がいた。
「ってめ…何、しっ…」
言葉がうまくでてこねぇ。クソがっ…ンだよ!!!こんな時に!
酸素が足りねぇ…頭が回らねぇ…。
なんだ?なんでだ?どうしてヴィランが苦しんでる?
それにこのデカい穴…まるで俺の爆風…?
もしや暴発したのか?俺が?
考えることがありすぎんだろ。訳が分からねぇ。
ふと視線を下に向けると、女の左手が酷く火傷していた。