【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】
第1章 #1 眠・謎・力
「よかった…意識…戻っ・・・」
こいつ…なんでここに…?
それになんだこの左手…酷ェ怪我してやがる…
これは俺がまるで暴発したときみたいな…いや、まさか。
ンなことあるわけ…
クソ女の問いかけに答える余裕もなく、俺はとにかくクソヴィランをぶっ殺すために酸素を取り込み、頭を回す。
今はこいつの怪我のことよりも、こっから出ることが先だ!
クソッ…力が入らねぇ…
なんなんだよこいつ!!!
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ーーーー祥sideーーーー
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ほんの数秒間の出来事だった。
彼がズズッと穴に向かって顔を出し、無呼吸からの解放を求め、深呼吸をした。
私はまた彼の名を呼んでしまった。
「爆豪!!!!」
爆豪は頭が追い付いていないようで、目線をふらふらさせながらなんとか呼吸をしている。
先程から痛む左手は、ズキズキが増している。
ただの切り傷ではない。左手全部が痛い。
この感覚はいったい・・・
今はとにかく、彼が生きていたことに安心した。
体の感覚がまた失われつつあることに気づかずに、私は彼に目が釘付けだった。
次の瞬間、目の前にあったはずの彼の顔が、急に見えなくなった。
再び訪れる無呼吸状態に、思わず意識的に息を止める。
”酸素を無駄にしてはいけない”
本能がそう言っていた。
「っ!!!!!」
穴をあけられたヴィランが2人の力を吸い込み、穴を修復しようとしていた。
先程よりも早い速度で失われていく全身の感覚。
(呼吸もできない。やばっ…)
全身が宙に浮いていくような感覚とともに、搾り取られていく何かを感じ、祥は意識を手放した。
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どれくらい時間がたったのだろうか。
消毒液のにおいと、ふわふわとした感覚で目が覚めた。
(生きてる・・・?)
夢から覚めたのか。
すごく不思議な夢だったな。
痛覚や嗅覚が妙にリアルだった。
そんなことを思いながら目を開ける。
「目が覚めたか。」
誰?
声の主のほうへと首を動かすと、そこには一人の男がいた。
消毒液のにおいのおかげで意識がハッキリとしてきていている。
体も節々が痛んできているのがわかる。
髪の毛を逆立たせ、充血した目で私を見るその男。
これは・・・この人は確か…。