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【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】

第1章 #1 眠・謎・力



「爆豪!!!!!!」

少年の姿を見つけたとき、思わず叫んでしまった。
乱れた呼吸が整わず、肩で息をしてその場に止まる。

「っ…爆豪!あのっ…」

苦しいなんて言ってられない。
彼を助けなきゃいけない。
その一心で名前を呼ぶ。

この際「君付け」してなかったなんてことは気にしてられない。
とにかく助けたい!!
そう思って呼んだ名前に、少年”爆豪”が気づいた。

「ってめ、ンなとこでなにして…っ!!!」

ーーーバンッーーー

「あっ…!!!!」

”気づいてくれた”なんていう考えが甘かった。
少年が私の言葉に気づき、目線を敵から離した瞬間、泥の中に飲み込まれたのが見えた。

(しまった…!!)

なんてことをしたんだ。瞬時に寒気が襲った。
私の一言で彼が意識を逸らしてしまった結果、敵のヴィランに飲み込まれてしまったのだ。

ーーーズズッ…ズズズッ…ーーー


ズルズルと泥の塊が大きく盛り上がっていく。
私の足は寒気と恐怖のせいですくんで動かなくなってしまった。

ヴィランとの距離はおよそ10メートル。
逃げられない距離でもない。いや、そんなことはできない。
あの”爆豪”が飲み込まれてしまったのに、一般人の自分がなにかできるのだろうか?
こんな…吐き気がするようなにおいの塊に…。

(とにかく、とにかく考えなきゃ!!!)

必死に頭を回転させ、策を考える。

(逃げ出すか、いや…でもっ…)

この後の展開がどうだったのかなんて考えられない。
思い出す余裕すらない。

全身に走る寒気と、すくんでしまった足。
それだけじゃない。うるさいくらいに鼓動がわかる。

本能が”危険”を教えてくれていた。






自分がまさか”爆豪”をヴィランに取り込ませるキッカケになったなんて…
そんなの…そんなのって…。

家事の煙で目も痛いし、肺も痛い。
いったいどうしたら…

そんなことを考えていた瞬間、泥の塊から少年の声が響いた。


「っふ…てめっ…クソ……逃げろ、バカ女!!!!!」


ハッとして目線を前に向けると、泥の塊から身をよじるように必死に顔を出し、苦しそうにもがく爆豪が目に入った。
私はその姿をみて、体のなかに”何か”が駆け巡ったのを感じた。


ーーー”助けなきゃ”ーーーー





そう思ったときには、すくんでいたその足は、ヴィランめがけて走っていた。
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