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【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】

第1章 #1 眠・謎・力


ほぼ体当たりのような強さで外に出た私がみたものは、先ほどよりも混み合っている街の風景だった。

「はぁ…はぁ…っ……」

呼吸を整える間もなくあたりと見渡すと、血相を変えた人たちが一方から走ってくるのが見える。

鳴り響くクラクションの音。
叫ぶ人の声。泣きじゃくる子供。
まさにそこには”恐怖”が漂っていた。

ツンとくるにおい意識がやられる…。
鼻につくそのにおいは、先ほどの少年のニトロのにおいとは違う。

(これは…火事?)

かすかに目に違和感を覚えながら、人の波の根源を見渡す。
あそこから人が逃げてくるということは、少年も向こうにいるのか?
でももしいなかったら…

そんなことを考えがふと横切って、首を横にぶんぶんと振る。
そんなこと今は考えちゃいけない!!!!

ふうっ、と息を吐き、呼吸を整え、人混みへ向かって走り出す。
先程までのふわふわした足の感覚は、階段をずっと降りていたおかげでもう無い。

悲鳴と鳴き声が混ざり合う街の中を、嫌な胸騒ぎを抑えながら走り抜ける。
心臓がうるさくて痛い。
きっとこの先に待ち受けている状況が想像通りの可能性が高いからなのか。
それとも、久しぶりに走りつづけることによって心臓が悲鳴をあげているのか。

どちらにせよ、急ぐしかない。

ーーーー”助けたい”ーーーー

その思いしかなかった。









「はぁっ…はぁっ…」

どれくらい走ったんだろうか。
鼻にくるツンとしたにおいは強まり、自分が涙目になっているのがわかる。煙のせいだ。

来ている服の袖口をぐっと引っ張り、口元を抑えながら走る。

(苦しい…でも…っ…)

正直私自身どうかしていると思う。
先程まで睡眠剤を飲んで眠りについていたはずが、今は背中の汗がつたっているのがわかるくらいに体が熱くなり、呼吸が荒くなっている。

目が覚めたらそこは、眠る前にみていたことのある世界で…。
そんなことが果たしてあるのか?
これも悪い夢なんじゃないのか?

様々な考えを頭で巡らせながら、熱のこもる先へと向かった。

ーーードォン!!ーーー

大きな爆発音に思わず目を向けると、そこには先程の少年…”爆轟”がいた。

(見つけた!!!!!)

路地裏の陰を縫うように、爆発を最小限に抑えつつ大通りに出ようとしていた彼のもとへ、とにかく追いつきたくて足を速めた。
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