【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】
第3章 #3 影・術・夢
「あの…代わりばんこで寝袋で寝るってのは?」
「は?」
なんとも訳の分からない提案、とも言いたげな顔だ。
そりゃそうだ…
ベッドがあるのに、好きで寝袋で寝る人なんてそんなにいないと思うし。
でも私には、この提案は大切なことだった。
先の話を知っているからこそ、大変な時だからこそ、休んでほしい。
そう思っての提案だった。
未来予想図みたいな話をして、もし何かが変わってしまったりしても怖いので、本人には全部話すことはないにしても、休んでもらいたいという思いに嘘はない。
「だめだ。」
「え、なんで?」
「…だめなものはだめだ。ぐだぐだ言うな。」
「いやいやいや。ちょっ…まって!」
そんな思いとは裏腹に、”ダメ”の一言で提案をけられてしまった。
まさに、ぴしゃり。
でもここで折れたら…もっと睡眠不足になるし、休める者も休めなくなる!
私がきてからただでさえ大変な思いをしたと思うし、ここはぜひ休んでもらいたい。
私も比較的頑固な方ではあるので、気持ちで折れるわけにはいかなかった。
「ダメっていう方がダメ!ちゃんと休まないと!!先生なんだから。」
「休めるときに休んでる。」
「そうじゃない!ベッドのほうが疲れもとれるんだってば。」
「んなことは知ってる。だが、ベッドはカバーや毛布は変えられるが、寝袋は無理だ。男がずっと使ってきたものを簡単に貸せるわけないだろ。」
想定外だった。
潔癖なのか?気遣いなのか?
どちらかわからない”遠慮”をされていた。
「私、男とか女とか…気にしないけど。」
「そういう話じゃねぇ。」
「…(そういう話だったと思うんだけど。)」
「とにかく、ダメなものはだめだ。これ以上俺を会話で疲れさせるなよ。」
疲れた。と言わんばかりに手のひらを揺らし、小さくため息をついてリビングの椅子に腰かける相澤。
(むむ…ここは何としてでも…。)
そうだ!!!!
「あ、あのっ…」
「なんだ?もうこの話「消太とベッドで寝る。」…は?」
私にベッドで寝てほしい。
私も、ベッドで寝てほしい。
これしかなくない?
ーーーー相澤sideーーーー
あきらめの悪い女だ。
本当に疲れる。
「あ、あのっ…」
「なんだ?もうこの話「消太とベッドで寝る。」…は?」
何言ってんだこの女。
…わかってんのか?