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【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】

第3章 #3 影・術・夢



「ついたぞ。」
「あ、うん。」

ドアを開け、助手席を降りて、相澤の後ろを歩く。
離れないようにと距離をつめながら、周りを見渡す。

(この辺のマンションの感じは、普通の家と変わらないんだな…)

ヒーローっていうから、もう少しすごい家に住んでるんだと思ってた。
勝手なイメージではあったものの、シンプルな5階建てのマンションが、少し意外だった。


「おい。」
「え?あ、はいっ‥?」
「あんまりジロジロ見るな。不審者みたいだ。」

(不審者…いや、それなら消太が‥)

言いかけた言葉を飲み込んだ。

「あ、えと…うん。」

伸びきった髪の毛、けだるそうに歩く姿、丸まっている背中。
ヒーローのイメージとはかけ離れたそのいでたちは、現実世界であればなかなかのパンチ力だっただろう。

その後、2人でエレベーターにのって部屋の入口へ向かい、鍵を開けて中に入った。
お互い、無言で過ごしていた。

無言が嫌いなわけじゃない。
一緒にいて苦手な人もいるけど、相澤との無言はなんともなかった。
初めて会った病院でも、無言のことの方が多かった。

(そもそも喋りすぎる人嫌いそうだもんんだ…)

ふと、プレゼントマイクが頭をよぎった。
思わず小さく笑ってしまった。

「まぁ…入れ。」
「お邪魔します。」

想像よりもモノトーンの部屋だった。
相澤は、どこから取り出してきたのかわからない新品のスリッパを貸してくれた。
来客なんてほとんどない。
そういってもおかしくないくらいに、物がなかった。

(ミニマリストなのかな?)

想像通りというかなんというか…ギャップはないんだなぁ。
そんなことを思って周りを見ると、部屋ゴムがひとつ、テーブルの上にあることに気づく。

「あ、ヘアゴム!」
「あ?あぁ…髪の毛、結ぶ時があるから使うんだ。とりあえず、適当に過ごしてろ。俺は着替える。」

(そういえばハーフアップしてもらいたいなって思ってたなぁ…)

アニメでみたその姿が、少し色っぽくて好きだなって思っていた。
あれは…爆轟とデク君が喧嘩した時だったかな。
すごくいい回だったなぁ…。

ーーーガチャッーーー

ひとり思い出して懐かしんでいると、後ろのドアが開いた。
相澤が着替えて戻ってきたのだ。

(わぁ…)

いかにも、とはこのことか。
真っ黒でゆるっとしたスウェットの上下。
どこまでも、黒だな。
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