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【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】

第3章 #3 影・術・夢


「チャコ…チャコとか、どうかな?」

チャコ?
麗日のことか…あいつが一緒にいるのか。
入学早々に、人にあだ名をつける女なのか…?
変わった女だな。

盗み聞きするわけではないが、何やら女子特有の盛り上がりを見せているその風景は、とっても近寄りがたいものだった。

(そういや、爆豪だけが呼び捨てだったな。)

他の男子生徒はみんな君付けしていたが、あの日の出来事が関係しているのだろうか?
2人が出会ったのはあの時が初めてじゃないのか?

(…まだ隠されてるなにかがあるかもしれないな。)

そう思うと、少し胸がザワついた。
ホームルーム中のあの爆豪の態度といい、高崎の態度といい、「会って間もない人間の距離」ではなかった気がする。
…また報告書を書き直すことになるのか。
そんなことを想像しただけでも、嫌気がさす。

小さなため息をつき、盛り上がっている女子トークを聞きながら、扉に寄りかかっていた。
数分後、麗日が高崎に一緒に帰ることを提案した。
あの女の顔…喜んで受けようとしてないか?

(お前の帰る場所は無いはずなんだがな。)

今にでも、という勢いで回答をしそうになっていた高崎の声に、かぶせるように声をかけた。

「おい。」

すると、あからさまに「面倒な奴が来た」と言わんばかりの顔をされた。
無意識か?それとも意識的に俺を嫌ってるのか?
その顔を見て、俺の胸の奥がまたザワついた。
思わず眉間にもしわが寄ってしまう。
それに気づいた麗日が、申し訳なさそうに俺に会釈をし、高崎に別れを告げて帰っていった。

この女…本当に立場わかってんのか?
面倒だ。
だかしかし、見離せない何かがある。
それは「任務」なのか何なのかはわからない。
あの日起きた一瞬の出来事によって、
俺の高崎に対する見方は「監視対象」だけではなくなってしまっているのかもしれない。
他の何かはわからない。
”何か”になったのかもしれないな。

(…考えるのも面倒だな。)

今はとにかくこの女を連れて帰って、休みたい。
ここ数日の裏任務と、報告書作り…授業の消化で睡眠不足に拍車がかかっている。
あぁ…そういやこの女どこで寝るんだ?
それもまた考えるのか。
どこまでも手のかかる女だ。

小さくため息をついて、前を見ると、高崎がまっすぐ俺を見ていた。
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