【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】
第3章 #3 影・術・夢
その顔に、状況を理解したチャコが続けて言う。
「あっ…えと、じゃ、じゃぁ、また一緒に帰ろうね!祥ちゃん!」
「あっ、うん、ごめんね!!また!」
いたたまれない空気を察したのか、手を振り苦笑いをして帰ってしまった。
残されたのは、不機嫌そうな”相澤先生”と私。
そしてこういうときもまた、彼は目をまっすぐ見ようとする。
(この目、苦手ではないんだよな…。)
少し怖いなと思うときはあるけど、気持ち悪いとか苦手じゃないんだよね。
不思議だなと思いながら小さくため息をついて荷物を持ち、入り口の彼のものへと向かう。
「あの…放課後どっかに来いとか言われてました?」
「いや、言ってない。」
「ですよね…。」
(ではなんでそんな不機嫌な顔してらっしゃるんですか…)
彼の不機嫌の理由はわからないが、「当たり前だろ」と言わんばかりの態度をとられているので、何も言わないことにした。
ややこしくなるのは嫌いだ。
私は、入り口にもたれかかる”相澤先生”のもとへいき、目を見た。
ーーーー相澤sideーーーー
放課後、授業が終わったあと、俺は高崎を職員室で待っていた。
特に何か言ったわけでもないが、帰る場所があるわけでもないし、俺の所へくるだろうと思い、仕事をしていた。
(来ねぇな…)
あれからどれくらい時間がたっただろうか。
シンプルな白壁についた時計へ目をやると、先ほどとあまり時間が進んでいなかった。
(15分…30分?そんなもんか。)
もしやもう学校を出たのか…?
生徒とも打ち解けているところをみてると、あの女ならやりかねない…。
小さなため息をつきながら、重い腰を上げてパソコンを閉じる。
俺は面倒ごとが嫌いだ。
ただでさえ人の世話なんて面倒だというのに、それが「同い年」だと言い張る見た目高校生の女。
話が理解できない部分も多く、校長の言う通り目を離している方が危険だ。
いまだに個性も分かっていない。
あの瞬間…病院での一瞬の出来事、あれは、確かに俺の個性が”消えた”瞬間だった。
謎が深まるままだ。
もやもやする。
職員室を後にし、ひとまず教室へ向かった。
あいつのことだ。コミュニケーション能力が低いわけではないし、生徒に絡まれてることも想像がつく。
近いところから探していくか。
そう思い、廊下を歩いていると、聞きなれた声がした。
