【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】
第3章 #3 影・術・夢
俺の名前を知ってる…
親父の影響か?それとも先生から聞いてたのか?
不思議そうに見ていると、高崎が話しかけてきた。
「あの…なんか、あたしの顔についてる?」
「え?いや…なんでもない。」
変に怪しまれてしまった気がする。
余計なことを考えるのはやめるか。
今俺が考えるのは、どうやったらあの親父を完全否定できるか、ってことだけだ。
(慣れ合いなんかいらねぇ…。)
そう思ってまた、轟は窓から空を見上げた。
ーーーー祥sideーーーー
なんか、変なことでも言ったのかな。
めっちゃ見られてる気がする…
けど…目逸らすのも違う…よね?
自分の発言を振り返り、違和感がなかったかを考えたが、特に見当たらなかった。
あまりにもまっすぐ見られていることに対し、数秒考えた結果、私は轟くんに聞くことにした。
「あの…なんか、あたしの顔についてる?」
「え?いや…なんでもない。」
なんでもないのか。
え、そんなことある?めっちゃ目あったけど…
彼はまたそういうと、ふい、と顔を逸らして、外を見始めた。
外…好きなのかな…。
この頃の彼は確かまだ、自分のことしか見えていなくて、周りとの協調性とかも気にしてないんだっけ…。
なかなかナイーブな時期だった記憶があるなぁ…
そんなことを思い返しながら前を向くと、”相澤先生”と目が合った。
その目もまた私をまっすぐ見ていたが、何も言うことはなかった。
(ここの人たちは…めちゃくちゃ目合うな‥)
人と話すときは目を見て話す。これは小さいころから言われてきたことだ。
特に不快になることもなく、私自身もまたそうしてきた。
しかしまぁ…なんというか…
(探りに来てる感がすごいんだよね…)
ここの人たちは、目で何かを探る。
私の心の中であったり、考えであったり…
なにか…心臓を生で触られている感覚になるときがある。
これが”個性”ってやつなのかな…。
私は、”相澤先生”から目をそらし、机の中にある教科書を手に取った。
(準備がよろしいこと…)
どうやら、私が話し合いをしている時点で、個々の席に座るところまでは想定内だったということらしい。
恐るべき根津校長…。
10年ぶりにみたその教科書は、現実のものとはなんら変わりなくて、すごく懐かしい気分になっていた。