【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】
第3章 #3 影・術・夢
早足で歩き始める相澤に、置いていかれないようにと小走りでついていく。
「あの…案内するって……」
学校といえど、広すぎる。
1度では覚えきれないだろうなあ…
そんなことを思いながら話しかけたその言葉は、何も無かったかのようにスルーされる。
(聞こえてない?)
「あの!相澤……先生!」
いい慣れない同級生宛の「先生」にむず痒さを覚える。
(ほんとなら消太なはずなのにな…)
そんなことを思っていると、すっと相澤が歩みを止めた。
視線の先には「1-A」の文字。
馬鹿でかい。ありえん。このドアはキリン通れる。
まさかこんなにデカいとは…
「ここが、お前がこれから通うクラスだ。」
―――ガラガラッ―――
「あ、先生!おは…あっれー?先生その女の子は?」
紫色した女の子が、ルンルンで近づいてきた。
彼女は…そうだ。
芦戸ちゃんだ。
酸を個性とする女の子。
「ケロ?この時期に転校生なんて珍しいわね。その顔…あなたもしかして…」
カエル言葉で話しかけてきたこの子は…梅雨ちゃんだ。
カエルっぽいことはだいたいできるといっていた。
彼女はなにか言いたそうに私の顔を見て、言うのを辞めた。
察してくれたんだろうか…?
そして、その騒ぎを聞き付け、A組の生徒が集まってきた。
「やあ!僕は青山「おいら、峯田!よろしくなぁ!」」
「初めまして。僕は1年A組の学級委員長をしている飯田だ!よろしく。わからないことがあればなんでも聞いてくれ!」
「俺は…常闇だ。」
たくさんの人に急に話しかけられて、聖徳太子状態。
昔の人はよく聞きとれたものだ。
みんな見た事のある生徒たちのなかだったので、話を聞きながらぐるっと見回すと、私はある男の子の姿に気づく。
「爆豪!!!」
久しぶりに呼んだ名前で、びくっと反応したその男は、人の顔を見るなり目を三角にして私に向かってきた。
ずんっ…ずんっ!
「おいテメェ!あの時はよくも…!!!!」
え、怒ってる?
そんなことを思っていたら、背後から先生が声を出した。
「座れ。ホームルーム始めるぞ。」
「あぁ!?チッ…覚えとけよクソ女!!」
怒りの理由はわからないが、爆豪のイライラはあまり私にぶつかることなく終わった。
大丈夫なのか私。
やっていけるの?