【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】
第1章 #1 眠・謎・力
まるで生まれたての小鹿のような足の感覚で、ふらつきながら目を開けたその先には、テレビで見た”ソレ”だった。
「え…」
頭がまったく追いつかない。
先程までのぬくもりから、冷たさ、痛みときて…なに?
手足の感覚がじんわりと戻ってきているのを感じ、光になれていない目を数回こすり、先から迫ってくるものを見る。
「夢?え、夢?なに?えっ…」
わけがわからない。
本当に頭が追い付かない。
薬の副作用で夢を見ているのだろうか?
これは続き?目覚ましの音は?
「どけ!女ァァァァ!!!!」
「え?」
ーーーードォォォン!----
瞬時、目の前で大きな爆発音がおきた。
その爆風で、私の足は後ろへヨロヨロとよろけてしりもちをついてしまう。
「痛っ…な、なに!?」
もう何が何だかわからない。爆発?マジ?
目の前にいたあれは…確か…あれは…
必死に頭を整理する。
心臓は早くなっているのがわかる。
これはきっと先程とは違う”恐怖”だ。
本能が”逃げろ”といっている。
(でも待って…あれは…知ってる!
知ってるんだ…あの泥!!)
しりもちをついたまま頭に手をやり、髪をくしゃくしゃとかきあげる。
次の瞬間、ふわっと体が持ち上がり、重力がかかった。
腹部をぐっと抱え込まれ、体が「く」の字になったまま、私は運ばれていることに気づく。
「!?」
「ボサッとしてんじゃねぇ!死にてぇのか!ババァ!」
(バッ!?は…え、あれ…)
敵に背を向けるような形で走り続けるその少年の頭を、私は知っている。
圧迫され続ける腹部の感覚と、風のように走り抜けるこの爆風と、目の前にいた”ソレ”…
(これは…ここは…)
私を片手で抱え込み、片方の手で爆発を起こし、爆風で敵から逃げようとするその少年は、学生服を着ていた。
(ツンツンとしたベージュの頭…爆風…)
必死に記憶を掘り起こし、脈打つ心臓の音を感じながら、頭をフル回転させる。
「あっ…あの…っ」
「あぁぁ!?っるせぇ!黙れ!!」
「あ、えっ…」
知ってる…知ってるんだ……
でも夢?夢だとすれば…ここは…この世界は…
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「爆豪…勝己…?」
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ドンドンと響く爆風の中、記憶から振り絞って出した名前は、私が最近ハマったアニメの中の男の名前だった。
この男、知ってる。
(いやまさか…そんなことって…)
