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【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】

第1章 #1 眠・謎・力



久しぶりの感覚…
熟睡とはまさにこのことか。
春の日差しの下でお昼寝…いや、陽に当たった布団に包まれているような心地よさだった。

(あぁ…あったかい…)

なんだろう…でも…この違和感は。

それは、足が地についていない感覚だった。
腰から下の感覚が全くない。
ただただ温かい感覚だけが伝わっている。

おかしい…なにかがおかしい!
そう思い、手で触れてみようにも、腕が動かない。

(まって?目も開かない?)

どくどくと脈打つ心臓。うるさいくらいにわかる。
それは紛れもない”不安”のあらわれだった。

先程までの陽だまりのような心地よさは瞬時に消え、冷たい水の中に落とされたような痛覚に襲われる。

(痛い、痛い、痛い!!)

おかしい…おかしい!!
焦る心と下半身の違和感…そして全身を針でつつかれるような痛覚に襲われ、自分が自分でなくなる気がした。

(なに…薬のせい…?)

まるで幻覚でもみているのだろうか?
いや、そもそも”見えて”いないのだ。

金縛りとも違うそれは…祥に大きな不安を与えた。

(怖い…怖い…嫌っ!!)

必死に目を開けようと瞼に力をこめる。
そもそも開かない目なのかと思うくらいに、びくともしない。

チクチクと痛む下半身。
温かい感覚は消え、冷たさが増していく。

目を覚ます”何か”がないか考える。
こういう時の頭だろ!なにか無いの?

亡くなった祖父や祖母を思い出す。

(金縛りの時はこういうのがいいんじゃなかったっけ…
いや、これは金縛りじゃないよね…?)

次第に強まる違和感は、下半身から上半身へと移っていく。
じわじわと迫りくる”何か”が自分を襲うのがわかる。

(嫌っ…気持ち悪い……!!!!)

恐怖と不安に襲われた私の心はパニックになる。
次の瞬間、突然聞きなれた音がした。



ピピピピッ…



刹那、閉じた目でもわかるくらいの眩いばかりの光が広がり、体全体がぐっと押し出されるような強い風が吹いた。

(え、何…?)

今自分に何が起きているのかはわからない。
でも確実に”助かった”という感覚はあった。

冷たい感覚と痛みは消え、手足の感覚が戻り、突然の地面の感覚。
ずん、とくる重力を感じ、足が地についたのがわかる。
ふらつきつつゆっくりと目を開けたその先にいたのは、泥のような形をした”ソレ”だった。
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