【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】
第2章 #2 住・生・楽
その後、ミッドナイトの運転で雄英につき、車を降りた。
いつから起きていたのかわからない相澤も、何事もなかったように車を降り、頭をかいていた。
(髪の毛邪魔なんじゃないの…?)
ハーフアップみたいなの、似合ってて好きだったのにな。
今度機会があればみせてもらおうかな。
そんなこと考えて相澤を見てると、視線に気づいたのか話しかけてきた。
「なんだ。」
「えっ…いや、あの…」
今言う話では無いな。
そう思った私は、トランクに目をやり、そそくさと車の後ろへ移動した。
するとまた長い腕が伸びてきて、一言ぴしゃりと言い放った。
「いい。」
2文字しか言わないのかこの人。
腕に制されてしまった私をみて、ミッドナイトが笑う。
「あらあら…」
なんとも言えない気持ちになってしまった私は、お言葉に甘えて荷物を持ってもらうことにした。
二人のヒーローの後ろをトコトコとあるき、アニメでみた雄英と重ねてみる。
広大すぎるその敷地内では、日々訓練が行われているのか疑うくらい静かな空気が流れていた。
鳥がさえずっている声すら聞こえる。
知らない世界と知っている世界を重ねながら、きょろきょろしつつ校内に入り、職員室へと向かった。
「戻りました。」
「…」
「失礼します。」
ミッドナイトの声と共に職員室の中にいた教師たちと一斉に目が合う。
(うわぁ…見たことある人ばかりだ…)
ブラドキング…13号…プレゼントマイク……
知っている人たちがたくさんいる。
実在している。
夢、なのに…
「やぁ!」
突然、話しかけられて、ハッとした。
意識が引き戻されるような、そんな感覚だった。
前を見ても、いない。
「高崎さん、だね?」
声は、する。
おかしい…
瞬きをしていると、セメントスの肩越しから、ひょこっと何かが動いたのが見えた。
あ、あれは…
見覚えのあるねずみ…
「校長…?」
「おや、私のことを知っているんだね?」
思わず口走ってしまった。
しまった、と思った。
その瞬間、校長…根津の目がきらりと光った気がした。
(確かこの人の個性…”ハイスペック”だったかな)
嫌な予感がする。