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【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】

第2章 #2 住・生・楽



ーーーー高崎sideーーーー


数日ぶりにみた彼に、少し、気持ちが踊ってしまった。



安心感があった。

”知っている人”がきた。


それだけで、うれしかったのだ。




彼のもとへ歩み寄ると、相澤は頭をかき、目線をずらしながら言った。


「荷物、まとめろ。行くぞ。」
「え、どこ…?」
「ついてこい。」
「いや、だから…」
「ついてこい。」



有無も言わさず、とはこのことか。
私の意見や質問なんて受け付けませんと言わんばかりに、ぴしゃりと言い返される。


仕方ないな、と思いつつ、背中を向け荷物を取りに戻る。
先程まとめ終えたその荷物は、とてもシンプルなものだった。


私がこの夢の中に来た時の服、スマホ、歯ブラシなど。



今身に着けている服は、入院中に看護師さんからもらったものだ。
下着も服も、サイズぴったり。
いつ測ったんだろう…
おそらく、誰かが用意したものを渡してくれていわれたのかな。



数日分のその荷物は、ボストンバック1つにまとまり、あっけなく入院生活の思い出としてまとまった。
左手も完治し、傷の跡もない。


「よいしょっ…」


荷物を持ち上げ、相澤のもとへと歩み寄ると、ぬるりと長い腕が伸びてくる。

「持つ。」


たった2文字の言葉の中に、不器用さとあったかさを感じた。
思わず小さく笑ってしまった。


「ふふっ…」
「なんだ?」


私のボストンバックをもち、相澤が眉間にしわを寄せ聞いてくる。


「ううん、ありがとうございます。」
「…」


なんか不満でもあるのか、といいだげなその顔は、呆れたようなため息ともに視線をずらした。

そのまま、相澤は何も言わずに病室に背を向けて歩き出す。




(どこに向かうのか教えてもらってないのにな…)





おいていかれるのもなと思い、とことこと後ろにくっついて歩く。




不思議なほどに、誰とも会わない。
病院のはずなのに、患者一人すれ違わないとは。


「誰もいないみたい…」

呟いたその言葉に、相澤が答えた。

「いないんじゃない。会わせないんだ。」



彼曰く、私は要注意人物となっているらしい。

彼が体感した”個性を消す”力と”爆発する”力について解明されていない今、むやみな接触は避ける、というものだった。



看護師さんに、お礼、言いたかったな。
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