【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】
第2章 #2 住・生・楽
結局、看護師さん以外と話すことなく入院生活が終わってしまった。
看護師さんも、余計な話をするわけでもなく、痛めた左手の訪台を取り換えつつ傷の経過を見る。
仕事熱心なのかな…
それとも、余計な話はするなって言われてるのかな…。
誰とも口をきけずにすごした数日間は、少し寂しいものだった。
「帰りたい。」
帰る?どこに?
起きたい、の間違いでしょ。
ふっ…とむなしくなって笑ってしまった。
誰にも聞かれることのない気持ち。
「どうやったら起きれるの?」
ここ数日過ごして、夢であることの確証が薄くなってきた私は、不安が増す一方だった。
このまま目覚めないんじゃないか。
もしかしてこれがほんとに現実なのか。
不安が波のように押し寄せる。
「おい。」
沈黙を打ち破るように、その男は数日ぶりに現れた。
相澤消太。
「消太…」
「だからその呼び方やめろ。」
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ーーーー相澤sideーーーー
あの女…高崎にあってから数日たった。
俺は学校に帰った後、あいつから聞いた情報を整理し、報告書を作っていた。
わからないことが多すぎる。
あいつの素性、個性、そして…「夢」という発言。
「わかんねぇな。」
「何がだい?」
ひとり呟いて書類と向き合っていると、目の前にはナンバーワンヒーローのオールマイトがいた。
「オールマイト…」
「珍しいじゃないか、相澤君。心ここにあらず、って感じだね。難しい顔をしている。」
この人には何でもお見通しなのか。
少し気持ち悪いな…と思いつつ、頭をかく。
個性がないというやつが出す個性…
そんな話をして誰が理解するだろうか。
「オールマイト。ひとつ…質問してもいいですか。」
「おぉ!相澤君が僕にかい?いいよ、なんだい?」
俺は、女の行動、言動をオールマイトに話した。
個性がコピーである可能性や、夢の話、思いつく限りの疑問点を投げかけた。
気づけば1つどころではなかったものを、オールマイトは、うんうんと頷きながら聞いてくれた。
一つずつ、疑問を紐解くように相談した。
そういえば今日は、退院日か。