【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】
第2章 #2 住・生・楽
「だから、何言って…」
「お前、何をした。」
人の話を聞いてくれない。
眉間に力をこめながら相澤を見る。
私までため息をつきたい気分である。
「何もしてません。何言ってるんですか?さっきから。」
「お前…」
そういうと、相澤は目線を落とし、何かを考え始めた。
この沈黙は、少し怖い。
「…お前の”個性”は、爆発じゃないのか?」
そういやさっきの自己紹介で個性の話してないか。
夢の話だしなと思って素直に話していたところを、さえぎられてしまった。
「さっき伝えきれてないから今言いますけど、夢のなかとは言え、個性なんてものはないです。」
「夢の中?」
何を言ってるんだこいつ、と言わんばかりの顔をしている。
顔に感情出すぎじゃない?
こんな人だったかな…。
もうちょっと不愛想だと思ってた。
「だから、私は今、いつ目が覚めるかわからない夢の中で過ごしてて、そんな中で個性がなんだとか言われたって、わからないんですってば。」
「…」
妙な沈黙はほんとに勘弁してほしい。
「聞いてますか?」
相澤は、何も語ることなく、私の顔を見る。
あまりにも無反応すぎて怖いなと思った私は、続けて話し始めた。
「名前を知ってるのも、あなたたちを現実でアニメとしてみてるから。個性も大体知ってるの。」
ため息交じりで説明をする。
「相澤消太。ヒーロー名はイレイザーヘッド。30歳。雄英先生ね。あと、爆豪も知ってるよ。彼の個性は爆破。汗かいた分だけ爆発力強くなるんだっけ。」
相澤は私の目をまっすぐ見て逸らさない。
そんなにみられると尋問されている気分でちょっと嫌だな。
少し時間を空けて、この重苦しい空気を変えようと思い、私は名前を呼んだ。
「消太、聞いてる?」
「!!!!!」
突然、ハッとしたように目を見開いて、相澤は手にかけていた捕縛布から手を下した。
「その、消太って言い方、やめろ。」
「え?」
ため息と共に、頭を掻きながら言う相澤。
(話、聞いてたのか。)
リアクションなさ過ぎてわからなかったなあ。
そんなことを思いながら、彼の言葉に質問する。
「なんで?消太ってまずかった?」
「子供にタメ口聞かれるほどなめられても不快だ。」
そういって窓の方に目線をむけた相澤は、席を立った。