【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】
第2章 #2 住・生・楽
「こんな30歳、見たことないぞ。」
そういって彼の携帯に写っていた私の写真は、間違いなく、高校時代の自分の顔だった。
「なんっ・・・・!?」
そういや夢が始まってから自分の体なんてなにかで確かめたわけじゃなかった。
今の今まで鏡もみてないし、まさかそんなことがあるなんて。
夢ってすごくない?
ピッチピチなんだけど。
最高かぁ?
そんなリアクションを一人でしていると、隣にいた相澤がため息をついた。
先程からめちゃくちゃため息をつかれている気がする。
なんか嫌だな…。
「百面相してるところ悪いんだが、俺はこれで失礼する。」
「えっ?」
突然の帰宅宣言に驚いた私は、思わず隣にいた相澤の腕をつかんでしまった。
その動きに驚いた相澤も、腕に力が入る。
「なんだ?」
しまった。なにも考えてなかった。
でもなにか…なにか言わないと。
そう思い言葉にしたのは…
「しょ、消太って…呼びたい。」
・
・
・
・
・
ーーーー相澤sideーーーー
何言ってるんだこの女は。
妄想のようにぺらぺらと大学生や社会人になった自分を話し始めたので、言葉を遮った。
(記憶喪失か?いや、それにしても…)
「今年30歳」
今、なんて?
俺と同じ年だって?
ますます何言ってんだこの女は。
この女といるとため息ばかり出る。
小さなため息と共に俺は携帯を取り出し、女を撮った。
盗撮は趣味じゃない。これは正式な撮影だ。
そして画面を女…祥に見せると、女は百面相のようにころころと表情を変え始めた。
疲れる。
何のために俺は呼ばれたんだ。
本日何度目かもわからないため息をついて、俺は言った。
「百面相してるところ悪いんだが、俺はこれで失礼する。」
学校へ戻って、報告しなければならないことがたくさんある。
この女からいわれた素性、そして個性への理解のなさ。
まるで自分のものでないその個性について、どう説明するんだ。
考えることがたくさんありすぎる。
面倒ごとは嫌いだ。
そんなことを思って口にした直後、突然腕をつかまれた。
”何か”が俺の中を巡った気がした。
気のせいか?
「なんだ。」
「しょ、消太って…呼びたい。」