【ヒロアカ】手のひらのぬくもり※トリップ【相澤/轟/爆豪】
第1章 #1 眠・謎・力
「あい…ざわ…、しょう、た?」
記憶を頼りに、ぼーっとする頭を振り絞って、思い出した。
その男の名前は、確か、相澤消太。
【僕のヒーローアカデミア】通常、ヒロアカのキャラだ。
1-A担任の30歳。
同級生だとわかったときの親近感はすごかった。
今でも鮮明に覚えている。
個性…なんだっけな…
「ほう?お前…。いや、まぁ…いい。」
男は充血した目のまま、首元の布に手をかけ、私に話しかけた。
「答えろ。内容によっちゃぁ面倒だ。」
何を?これは夢なの?
どういう状況?
頭が追い付かないまま彼を見つめる。
「お前はヴィランの仲間か?なぜうちの生徒と一緒にいた。」
ヴィラン…生徒…?
さっきの夢の続きなの…?
頭が回らなすぎて、くらくらしてくる。
そうだ、夢だとしても、確かめなきゃ。
私は…さっきヴィランに飲み込まれて…
「爆豪…彼は……?」
言葉を振り絞って、男を見つめる。
爆豪は生きているのだろうか。
私が介入したせいでもしものことがあったら、夢だとしてもここち悪い。
それだけが心配だった。
しばらく男は無言で私を見ると、ため息と共に瞬きをした。
首に巻いていた布から手を放し、ベッドに横たわる私に近づいた。
「質問に答えろ。俺は面倒が嫌いなんだ。」
ボサボサした髪の毛をかき、ため息をつく。
私に敵意がないことはわかったのだろうか。
意識がハッキリしてきた私は、彼の眼をみてもう一度聞いた。
「私はヴィランじゃない。爆豪は…彼は、生きてますか?」
首から下は痛みと重い感覚でまだ動かない。
目線だけでも、目の前の男に敵意がないことを伝えたい。
視線はそらさず、まっすぐ彼を見続けた。
深いため息と共に、男が口を開く。
「わかった。」
何がわかった?私がヴィランじゃないこと?
それだけ…?
「あの、彼は…生き「生きてる。」」
面倒くさそうに、それでもはっきりと、男は爆豪の生存を伝えた。
その言葉を聞いて、自分でもこみ上げるものがあるのがわかった。
夢とはいえ、一人の少年の命を奪ってしまうかもしれなかった。
そんな罪悪感が胸を締め付けていた。
男の言葉を聞いて、張り詰めていた糸がぷつん、と切れた音がした。
「よかった。」