第3章 新しい生活
そう言って渡されたのは程よい重みのあるボール。
ハルタ兄さんが少し前に構えてる。
「思いっきり投げていいからね!」
ボールか、、、私なんかコレ投げるの好きな気がする、、、
『えいっ!』
少し助走をつけて投げると、それは綺麗な放物線を描いて思ったよりも遠くまで飛んだ。
私の近くにいたはずのハルタ兄さんはいつのまにかボールの落下地点まで移動していて、片手でしっかりとボールを受け止めていた。
「思ったより飛んだね。
この船で1番投擲下手なやつより少し短いくらい。」
『よかった!』
「うーん、、、運動神経そのものが悪いって訳じゃ無さそう。
単純に体力の問題な気がするなぁ。」
今自分で動いてて自分自身でも感じた。
確かに体力は無さそうだ。
少し走っただけで疲れちゃうし。
「…多分、体力は劇的にないけど、その分身体の使い方が上手なんだろうね。
ただ走る、とかの結果で比べたら平均以下だけど、複雑な動きとか応用とか入れたら一般人の平均は超えそうだ。」
まぁ、この船でやっていくならどちらにしてももう少しいるけどね。
そう言って笑うハルタ兄さん。
やっぱり海賊の運動能力は桁違いだ。
「でも、オヤジやマルコには海賊として乗せる気はないって言われてる。目標としては、何かあったときに僕らが駆けつけるまで逃げ続けられる最低限の体力って言われてるから、、、そんなに厳しくはしないよ。」
『よかったぁ。』
もういろんなところがパンパン。
明日はきっと全身筋肉痛だ。
「じゃ、今日のトレーニングは今から甲板2周ね!」
『…うそ、、、今から?』
「嘘じゃない。ほら、いくら時間かかってもいいからとりあえず走ってきて。
走り終わるまでやめないから。」
『ひぇ…』
ハルタ兄さん…厳しいよぉ……
私は夕日が赤く染まるまで甲板を走り続けた。